ニュージーランドの歴史

ニュージーランドの歴史

ニュージーランドは、南太平洋に位置する島国であり、その歴史は多様な文化と出来事が織り交ざっています。元来は無人島であったこの地に、最初に足を踏み入れたのは東ポリネシアから渡ってきたマオリの人々でした。その後、ヨーロッパ人が到来し、ワイタンギ条約の締結、マオリ戦争を経て、ニュージーランドは自治領として発展を遂げ、現代に至ります。

マオリの到来

マオリの伝承によれば、彼らは「ハワイキ」と呼ばれる地から「ワカ」と呼ばれる船に乗って海を渡ってきたとされています。彼らがニュージーランドに到達したのは、10世紀後半頃と考えられており、クック諸島、ソシエテ諸島、マルケサス諸島などから北島へ渡来したと考えられています。当初、漁撈や農耕を営んでいた彼らは、ニュージーランドに渡来後、モアと呼ばれる巨大な鳥の狩猟を中心とした生活に変化しました。

モアはマオリの人々にとって重要な食料資源であり、その骨は釣り針や装飾品、工具の材料として利用され、羽毛はケープや首飾りに用いられました。マオリはモアを追いながら、居住地域を北島から南島へと広げていきましたが、モアの減少に伴い、タロイモやサツマイモの栽培、魚介類や海獣類の捕獲が生活の基盤となっていきました。1500年頃には、部族間の戦闘が頻発し、防御のためにパ（砦）が築かれるようになりました。

ヨーロッパ人の到来

ヨーロッパ人で初めてニュージーランドを発見したのは、オランダの探検家アベル・タスマンです。1642年、タスマンは南島を発見しましたが、上陸することなく、この地を「ゼーランディア・ノヴァ」と名付けました。1769年、イギリスの探検家ジェームズ・クックがニュージーランドに上陸し、詳細な海岸線の地図を作成しました。クックの「発見」をきっかけに、交易、捕鯨、宣教などを目的としたヨーロッパ人がニュージーランドへ来訪するようになり、カウリやニュージーランド麻が取引されました。

1807年以降、マスケット銃が持ち込まれるようになると、マオリ間の戦争形態が変化し、抗争が激化しました。また、ヨーロッパ人が持ち込んだ病気は、マオリの人口減少の一因となりました。1830年までに約2,000人のヨーロッパ人がニュージーランドに居住するようになり、治安が悪化しました。1833年、イギリスはジェームズ・バズビーを駐在弁務官として任命し、ニュージーランドの国旗を制定させ、マオリ首長たちに独立宣言書に署名させました。

ワイタンギ条約の締結

1820年代からヨーロッパの投資家たちは、ニュージーランドの植民地化を進めていました。1838年にニュージーランド会社が設立されると、その流れは加速し、マオリはマスケット銃を得るために土地取引に応じました。1840年、イギリス政府はマオリ首長らから土地を譲渡するよう交渉し、ワイタンギ条約を締結しました。これにより、ニュージーランドはイギリス領となり、ヨーロッパ人の移民が爆発的に増加しました。

マオリ戦争

ワイタンギ条約締結後、ヨーロッパ人はマオリから次々と土地を買い上げ、マオリは隷属化を危惧し、土地取引反対運動が起こりました。1859年、土地取引をめぐる争いが勃発し、マオリ戦争が始まりました。政府軍とマオリの間で激しい戦闘が繰り広げられ、1872年に終結しました。戦争の結果、マオリは多くの土地を没収されました。

ニュージーランド自治領

1840年、ニュージーランドはイギリスの直轄植民地となり、1852年には内政に関する自治が認められるようになりました。1853年には最初の下院議員選挙が実施され、1856年に初代首相が就任しました。1891年には自由党が結成され、土地改革が実施されました。

1899年の第二次ボーア戦争、1914年の第一次世界大戦に参戦し、多くの犠牲者を出しました。1931年、ニュージーランドはイギリス本国と対等な関係を持つ自治国家として認められましたが、正式な承認は1947年まで待つこととなりました。

第二次世界大戦後

第二次世界大戦後、ニュージーランドはイギリスに対して特恵待遇で生産物を供給し、経済は大きく発展しました。しかし、1973年にイギリスが欧州諸共同体に加盟すると、経済は不安定となり、オイルショックも追い打ちをかけました。1984年には労働党政権が誕生し、経済改革が進められましたが、福祉制度は後退しました。1991年には経済不況に見舞われましたが、1993年をピークに徐々に混乱は落ち着き、ニュージーランド経済の体質と構造は大きく変革を遂げました。

ニュージーランドの歴史は、マオリの文化、ヨーロッパの植民地化、そして独立国家としての歩みが複雑に絡み合っています。この国の歴史を理解することは、現代ニュージーランドの社会、文化、政治を理解する上で不可欠です。

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