ニューベッドフォード (マサチューセッツ州)

ニューベッドフォードの概要

ニューベッドフォード（New Bedford）は、アメリカ合衆国マサチューセッツ州のブリストル郡に位置する都市で、2020年の国勢調査によると10万1079人の人口を抱えています。州南岸の都市圏であるフォールリバーやトーントンと連携し、プロビデンス・フォールリバー・ニューベッドフォードの大都市圏では、国内最大のポルトガル系アメリカ人コミュニティが形成されています。この町は、19世紀にはナンタケットやコネチカット州ニューロンドンと並ぶ捕鯨基地として繁栄しましたが、現在はその主な産業は衰退しています。それでも、今なお「捕鯨の町」というニックネームで親しまれています。

歴史的背景

ニューベッドフォードの土地には、17世紀以前からワンパノアグ族インディアンが住んでいました。彼らはマーサズ・ヴィニヤードやナンタケットを含む広範な地域に分布し、約12,000人が暮らしていたと推定されています。1602年に探検家バーソロミュー・ゴスノルドがこの地を訪れましたが、その後の居住は1652年に初めて行われました。プリマス植民地の入植者たちがワンパノアグ族の酋長マサソイトに土地を譲渡され、ここに開拓町が設立されました。1787年にはベッドフォード村が法人化され、マサチューセッツ州ベッドフォードにちなんで「ニュー」が冠され、現在のニューベッドフォードとなったのです。

18世紀末には急速に成長し、1792年には初の新聞が発行され、1796年にはニューベッドフォードとフェアヘイブン間に橋が架けられました。1847年には市に昇格し、エイブラハム・ハザウェイ・ハウランドが初代市長に就任します。

移民の流入と発展

19世紀初頭、ニューベッドフォードはイングランド、スコットランド、ウェールズ出身のプロテスタントが主で、その後アイルランド人移民が増加しました。1818年にはアイルランドからの移民たちがカトリック教会を設立し、セントメアリーズ教会が建てられました。また、ポルトガルのアゾレス諸島やカーボベルデ諸島からの移民も捕鯨業を通じて町に住み着いたことで、ポルトガル系アメリカ人のコミュニティが形成されました。

19世紀後半には多くのユダヤ系移民も到着し、マサチューセッツ州の繊維産業中心地として知られるようになりました。しかし、20世紀に入ると捕鯨業が低迷し、繊維業へとシフトしていくことになります。

地理と交通

ニューベッドフォードは、バザーズ湾に面した海港都市であり、周囲にはダートマス町やフェアヘイブン町が接しています。市域の面積は約24.1平方マイル（約62.5 km²）で、陸地が80%を占めています。1880年代には水上交通としてクルーズ船も多く寄港しており、現在ではフェリーによる移動も盛んです。

また、ニューベッドフォード地域空港は多くの定期便が運航されており、州間高速道195号線や国道6号線が市を通過しています。公共交通機関においても地方便や長距離バスが利用され、便益を提供しています。

現代の経済と文化

現在のニューベッドフォード経済を支える基盤には、漁業、製造業、医療があります。タイトリストやリバーサイド・マニュファクチュアリングに代表される企業も存在し、創造的な小売業やサービス業も衰退を防いでいます。また、観光業も重要な役割を果たすようになり、特に捕鯨業の歴史的意義が訪れる人々にとっての魅力となっています。

市内には多くの博物館があり、ニューベッドフォード捕鯨博物館は地域の歴史を映し出す重要な拠点として機能しています。市は美術館も含め、地元芸術家の作品を紹介する場としても知られています。

おわりに

ニューベッドフォードは、かつての栄光に満ちた捕鯨業の歴史を持つ一方で、地域の多様性と新しい経済の成長を追求しています。未来に向けてもこの町は、独自の文化と歴史を融合させながら歩んでいくことでしょう。

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