ニューモニクス

ニューモニクス（Numonyx）は、2000年代後半にフラッシュメモリ市場で活動した半導体メーカーです。

この企業は、大手半導体メーカーであるインテルとSTマイクロエレクトロニクスのフラッシュメモリ事業を統合し、投資会社であるFrancisco Partnersも参画する形で、2008年3月31日に設立されました。

設立の背景には、フラッシュメモリ市場における競争力の強化と、両社の得意とする分野を組み合わせることで新たなシナジーを生み出す狙いがありました。ニューモニクスは、インテルとSTマイクロエレクトロニクスの2006年における合計年間収益が約36億ドルに上る主要なメモリ関連資産を引き継いで事業を開始しました。

ニューモニクスが提供した製品は、NORフラッシュおよびNANDフラッシュといった不揮発性メモリが中心でした。これらのメモリは、電源を切ってもデータが保持される特性を持つため、多種多様な電子機器に不可欠な部品として利用されていました。具体的には、

携帯電話
MP3プレーヤー
デジタルカメラ
コンピュータ

といった民生用電子機器から、さまざまな産業用デバイスに至るまで、幅広い分野に製品を供給していました。設立当初から提供された製品の中には、インテルやSTマイクロエレクトロニクスの技術を引き継いだ相変化メモリもありました。また、2008年にはM29EWのような新しいNORフラッシュメモリチップも市場に投入しています。設立初期には、自動車業界で広く使われていた5Vフラッシュメモリの販売を一度中止しましたが、顧客からのニーズに応える形で、2009年初頭にはM29Fシリーズとして再び提供を開始しました。

市場におけるニューモニクスの存在感は大きく、特にNORフラッシュメモリ分野においては、設立からわずか数年で主導的な地位を確立しました。2009年には、この分野で世界の市場シェアの34.6%を獲得し、最大のベンダーとなりました。

ニューモニクスの経営は、経験豊富な半導体業界のプロフェッショナルたちによって率いられていました。

最高経営責任者（CEO）を務めたのはブライアン・ハリソン氏で、インテルのフラッシュメモリ部門で副社長兼ゼネラル・マネージャーを務めた経歴を持っていました。
最高執行責任者（COO）にはマリオ・リカデッロ氏が就任しました。彼はSTマイクロエレクトロニクスでコーポレート・バイスプレジデントとしてフラッシュメモリ部門を率いていました。
最高技術責任者（CTO）には、インテルのメモリ部門でCTOを務めていたエドワード・ドラー氏が就任し、技術開発を牽引しました。

会社の本社はスイスのロールに置かれていました。事業展開はグローバルに行われており、

米国
イスラエル
シンガポール
中国
イタリア

といった国々に販売拠点や製造施設、研究開発センターを設けていました。

しかし、ニューモニクスの独立した企業としての活動期間は比較的短期間でした。2010年2月9日、同社は米国の半導体大手であるマイクロン・テクノロジーによって買収されました。買収金額は12億7,000万米ドルでした。この買収により、マイクロン・テクノロジーはニューモニクスが持つフラッシュメモリ技術や市場シェア、顧客基盤を獲得し、メモリ事業における競争力を一層強化しました。現在、かつてのニューモニクスの公式サイトは、マイクロン・テクノロジーのウェブサイトにリダイレクトされています。

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