ニューヨークの想い

「ニューヨークの想い」（New York State of Mind）は、ビリー・ジョエルの1976年のアルバム『ニューヨーク物語』（Turnstiles）に収録された楽曲です。

この曲は、ビリー・ジョエルがソロデビュー以来の拠点であったロサンゼルスから、生まれ故郷であるニューヨークへ戻る際の心情を歌ったものとして知られています。故郷への愛着と、新たなスタートへの決意が込められた歌詞とメロディは、多くの人々の共感を呼びました。

シングルカットはされなかったものの、その芸術性の高さから、バーブラ・ストライサンドやメル・トーメといった著名なアーティストによってカバーされ、徐々にその名が広まっていきました。以降、数多くのミュージシャンに歌い継がれ、ビリー・ジョエルの代表曲の一つとして確立されています。2014年には、ストライサンドのアルバム「パートナーズ」で、ビリー・ジョエルとのデュエットバージョンが収録され、話題となりました。

ライブパフォーマンスにおいても、「ニューヨークの想い」は欠かせない存在です。ビリー・ジョエルのコンサートでは定番の曲であり、観客との一体感を生み出す重要な役割を担っています。2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件のわずか10日後に行われたチャリティーコンサートでもこの曲が披露され、多くの人々に勇気と希望を与えました。

ビリー・ジョエルのベストアルバム『ピアノマン〜ヴェリー・ベスト・ビリー・ジョエル』には、この曲のラジオエディションが収録されています。通常のアルバムバージョンとは異なり、ラジオでのオンエアを考慮して、伴奏などが若干変更されています。このラジオエディションもまた、多くのファンに親しまれています。

「ニューヨークの想い」は、様々なアーティストによってカバーされています。例えば、綾戸智絵はトリビュート・アルバム『WANNA BE THE PIANO MAN』で、JUJUは『Open Your Heart 〜素顔のままで〜』で、平井堅はカバー・アルバム『Ken's Bar II』で、それぞれ独自の解釈によるカバーを披露しています。

この曲は、アメリカ同時多発テロ事件と関連して語られることもあります。事件後のチャリティーコンサートでの演奏は、人々に哀悼の意を表し、復興への願いを込めたものとして記憶されています。

「ニューヨークの想い」は、単なるポピュラーソングという枠を超え、ニューヨークという都市の象徴、そして人々の心の拠り所として、これからも歌い継がれていくことでしょう。

もう一度検索