ニューヨーク・オブザーバー

ニューヨーク・オブザーバーの歴史と変遷

『ニューヨーク・オブザーバー』は、1987年に投資銀行家アーサー・L・カーターによって創刊された週刊新聞です。この名前は、1823年にシドニー・エドワーズ・モールスが発行した同名の宗教新聞とは全く異なるものです。

創刊からオンライン化へ

創刊当初はブロードシート版で発行されていましたが、後にタブロイド版へと変更されました。2006年7月には、当時25歳だった不動産家ジャレッド・クシュナーが買収し、その所有下で紙面刷新が行われました。現在は、印刷版の発行を停止し、オンラインメディア『オブザーバー』として運営されています。本社はマンハッタンのホワイトホール・ストリート1番地に位置しています。

特徴的な紙面と人気コラム

『ニューヨーク・オブザーバー』は、サーモンピンク色の紙面とスケッチ風のイラストが特徴で、その独特なスタイルは視覚的にも注目を集めました。ヘンリー・ロリンズからは「不思議なほどピンク色の新聞」と評されたこともあります。しかし、2014年には紙色が白に変更されました。また、人気テレビドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』の原作となった、キャンディス・ブシュネルによるマンハッタンの社会生活をテーマにしたコラムを掲載していたことでも知られています。

印刷版の廃止とオンラインへの移行

2016年11月9日号をもって印刷版の発行を終了し、オンラインメディア『オブザーバー』へと移行しました。この印刷版の廃止は、当時のオーナーであったジャレッド・クシュナーの義父であるドナルド・トランプが2016年の大統領選挙で勝利した翌日に行われました。クシュナー自身は、トランプ政権で上級顧問を務めています。また、オブザーバー・メディアの残りのオンライン資産の所有権は、家族信託に移管され、義兄のジョセフ・メイヤーが発行者としての役割を引き継ぎました。

新体制と今後の展望

2018年1月8日には、オブザーバー社の新社長として、ニューズウィーク・メディア・グループの元グローバルチーフマーケティングオフィサーであったジェームズ・カークリンスが就任しました。これにより、オンラインメディアとしての新たな展開が期待されています。

政治的立場

『ニューヨーク・オブザーバー』は、2016年の大統領共和党予備選挙で、大統領候補であったドナルド・トランプを支持した数少ない新聞の一つとして注目されました。当時のオーナー兼発行人であったジャレッド・クシュナーは、ドナルド・トランプの義理の息子であり、選挙運動のアドバイザーを務めていました。しかし、トランプが共和党の大統領候補に選出された後は、明確な支持を表明することはなくなりました。

現在の『オブザーバー』

現在は、『オブザーバー』として文化、不動産、メディア、政治、エンターテインメント、出版業界に焦点を当てたメディアサイトとして運営されています。編集長のメアリー・フォン・アウエが編集チームを率いています。


参考資料

公式ウェブサイト
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