ニューヨーク・ワールド

ニューヨーク・ワールドとは

「ニューヨーク・ワールド」は、1860年に創刊され、1931年まで発行されていたアメリカの新聞である。この新聞は often「ワールド」と略称され、特に1883年から1911年にかけて発行人であるジョーゼフ・ピューリツァーの指導の下で、その名を馳せた。当時はセンセーショナルな記事やスポーツ、スキャンダル、さらにはセックスに関する報道が多数掲載され、多くの読者を惹きつけ、最盛期には毎日の発行部数が100万部にも達した。しかし同時に、「イエロー・ジャーナリズムの先駆者」という批判も受けていた。それでも、ワールドは民主党の見解を広く知らせる役割も果たし、1930年には他の新聞と合併し『ニューヨーク・ワールド・テレグラム』として新たなスタートを切った。

創刊当初の歴史

ワールド紙の歴史は1860年に始まる。当初はリベラルな視点を持つ自由貿易支持の新聞として認識されていたが、その後、所有者の変更に伴い様々な変遷を遂げた。1862年にはマントン・マーブルがこの新聞を手に入れ、長年にわたって編集長としても活躍。マーブルは、ワールド紙を自由貿易寄りの民主党支持に改編し、時には激しい政治的対立に直面した。たとえば1864年には、ワールド紙が掲載したリンカーン大統領の偽文書のために詐欺罪で起訴され、大統領自らがマーブルを逮捕する事態にも発展した。

1876年にはマーブルが新聞の運営から離れ、ワールド紙は複数の所有者のもと、財政的に不安定な状況が続いた。1879年にはテキサス・アンド・パシフィック鉄道の経営者に売却された。しかし彼も新聞の補填をできず、次第に経営は厳しくなっていった。

ジョーゼフ・ピューリツァーの影響

1883年、ジョーゼフ・ピューリツァーがワールド紙を取得し、これがこの新聞の黄金時代の始まりであった。ピューリツァーは、斬新な報道スタイルと積極的な発行部数の拡大を推進し、報道の質だけでなく、エンターテイメント性にも焦点をあてた。記者のネリー・ブライのような存在が調査報道に貢献し、特に彼女が行った72日間の世界一周取材は好評を博した。また、彼女の発表した記事や報告は、当時のジャーナリズムの新たな潮流を形成した。

1896年にはワールド紙が革新的に4色刷りの印刷機を導入し、カラーの付録を初めてつくるというチャレンジも行った。これにより、新聞業界は大きく変化していく。特に「イエロー・キッド」の漫画は大ヒットとなり、当時の競争相手であるウィリアム・ランドルフ・ハーストとの部数競争を引き起こす要因ともなった。

シンボルとしての役割

さらに、ワールド紙はコミック・ストリップの草分け的存在でもあり、1890年代初頭から数々の人気ストリップを掲載していた。『ホーガンズ・アレイ』や『ザ・キャプテン・アンド・ザ・キッズ』などの作品は、アメリカのコミック・ストリップの発展に重要な役割を果たした。これらのコーナーは、読者にとっての日刊の楽しみとなり、新聞の文化的な位置づけをより強固にしていった。

ピューリツァーの死とその後

1911年にピューリツァーが亡くなると、彼の遺産は子供たちに引き継がれ、組織の運営は続けられた。新たな発行人のもとでワールド紙は成長し続け、1913年には新聞として初めてクロスワードパズルを掲載するなど、新しい試みにも挑戦した。しかし、ニュースメディアが変化を遂げる中で、徐々にワールド紙の影響力は薄れていく。

1931年に最終的に廃刊が決定され、その影響をもって、『ニューヨーク・ワールド・テレグラム』が誕生した。その後もワールド紙の遺産は、ジャーナリズムにおける重要な立ち位置として語り継がれている。

まとめ

「ニューヨーク・ワールド」は、アメリカにおける新聞の歴史において重要な役割を果たし、その独自の報道スタイルや数々の革新は、今でも多くのメディアに影響を与え続けています。

もう一度検索