ニューヨーク万国博覧会 (1964年)

1964/1965年ニューヨーク世界博覧会

1964年 4月22日から1965年 10月17日まで、アメリカ合衆国ニューヨーク市クイーンズ区のフラッシング・メドウズ・パークで開催された国際博覧会です。第二次世界大戦後のアメリカの隆盛を象徴する大規模なイベントとして、世界中から注目を集めました。

概要

テーマ:

「相互理解を通じた平和（Peace Through Understanding）」をテーマに掲げ、世界平和への願いを込めた博覧会でした。会場の中心には、地球を象った巨大なモニュメント「ユニスフィア」が設置され、博覧会のシンボルとなりました。しかし、2年間の長期開催や参加者からの出展料徴収など、博覧会国際事務局（BIE）の規定に合致しなかったため、公認は得られませんでした。

アメリカ史上最大の万博:

「アメリカ史上最大規模の万博」として大々的に宣伝され、多くの企業や政府が参加しました。来場者数は5100万人に達し、当初の目標には及ばなかったものの、その規模の大きさを物語っています。巨額の費用が投じられたことから、「ビリオンダラー博覧会」とも呼ばれました。

主なパビリオン

当時のアメリカの好景気を反映して、2.6平方キロメートルという広大な敷地には、ゼネラルモーターズ、フォード・モーター、アメリカンエキスプレス、IBMなど、アメリカを代表する大企業のパビリオンが立ち並びました。各パビリオンは、最先端技術を駆使した展示やアトラクションで来場者を魅了しました。また、日本、スイス、メキシコ、インドなど約60か国が参加しましたが、国際博覧会条約の基準に満たなかったため、ソ連、イギリス、フランスなどの大国が参加を見送りました。

日本館:

約2,388坪の日本館は、政府関係の1号館、民間企業の2号館、そして「HOUSE OF JAPAN」と名付けられたレストランの3号館で構成されました。特に「HOUSE OF JAPAN」は、日本庭園を持つ3階建てのレストランで、連日伝統的なショーが披露され、人気を集めました。日本からの派遣団は260名を超え、日本のおもてなしの心を伝えました。展示の目玉は、新幹線の実物大模型でした。日本館の設計は前川國男、会場構成は亀倉雄策が担当しました。

政府・国際機関の参加

アメリカ、日本、中華民国、フィリピン、タイ王国、インド、パキスタン、スウェーデン、バチカン、オーストリア、ベルギー、スイス、ベネズエラ、メキシコ、イギリス領香港などの国々が参加しました。また、アラスカ州、ウィスコンシン州、モンタナ州、ニューヨーク州、ニューヨーク市、ベルリン市などの自治体も参加しました。

企業・団体の参加

ゼネラルモーターズ、フォード、クライスラー、アメリカンエキスプレス、ファースト・ナショナル・シティ、ペプシコ、コカ・コーラ、イースタン航空、ゼネラル・エレクトリック、ウェスティングハウス、シンクレア石油、コダック、デュポン、SC ジョンソン、シンガー、RCA、AT&T、IBM、NCR、フリーメイソン、モルモン教など、多くの企業や団体が参加しました。

主なアトラクション・展示物

フューチュラマⅡ（ゼネラルモーターズ館）: 未来の都市を体験できるアトラクション。
イッツ・ア・スモールワールド（ユニセフ館、ペプシコーラ提供）: 世界中の子供たちをテーマにしたアトラクション。
Think（IBM館、チャールズ・イームズ製作の映画）: コンピュータの可能性を示唆する映画。
新幹線（日本館、実物大模型）: 日本の技術力をアピールした展示。
フォード・マジック・スカイウェイ（会場内の自動交通システム、フォード提供）: 会場内を移動できる自動交通システム。
恐竜庭園（シンクレア）: 実物大の恐竜が展示された庭園。
テレビ電話（AT&T）: 当時の最先端技術を体験できる展示。
大画面テレビ（コダック館）: 迫力のある映像を楽しめる展示。
THE BIG TOWN（ニューヨーク市館、ニューヨーク市模型）: ニューヨーク市の模型展示。

エピソード

フォードの新型スポーツカー「マスタング」のワールドプレミアが、万博の開幕日にフォードのパビリオンで行われました。
1939年のニューヨーク万国博覧会で人気を博したゼネラルモーターズ館の「フューチュラマ」の最新版「フューチュラマⅡ」が出展され、再び人気を博しました。
ウォルト・ディズニーが制作したペプシコーラ提供のユニセフ館の「イッツ・ア・スモールワールド」と、フォードが提供した自動運行交通システム「ピープルムーバー」は、後にディズニーランドに移築されました。
日本館に展示された新幹線は、会期中の1964年 10月1日に営業運転を開始しました。なお、会場内に展示されたのはモックアップでした。
手塚治虫は、毎日新聞の特派員として取材に訪れた際に、ウォルト・ディズニーと対面しました。

脚注

この博覧会は、アメリカの経済力と技術力を世界に示す絶好の機会となりました。しかし、博覧会国際事務局の公認を得られなかったことや、ソ連やイギリス、フランスなどの大国が参加を見送ったことは、国際的な協調という点で課題を残しました。

外部リンク

* nywf64.com (1964/1965 New York World's Fair Website)

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