ニン (クロアチア)

ニン（Nin）

ニンは、クロアチアのザダル郡に位置する都市であり、基礎自治体です。人口は2001年時点で1,256人、基礎自治体全体では4,603人となっています。ニンの歴史は古く、中世にはキリスト教の教区の中心として重要な役割を果たしました。

地勢

ニンはザダルの北に位置し、アドリア海東のラグーンに面しています。周囲は美しい砂浜に囲まれ、本土とは2つの石橋で結ばれています。歴史的な地区である町の中心部は、直径500m以内に収まる小さなエリアです。

歴史

ニンの地には、1万年前から人が定住していたとされています。現在の町は3千年前に開かれ、東アドリア地域でも特に古い町の一つです。ニンは地中海地域の民族によって入植が行われ、紀元前9世紀以降はイリュリア人やリブルニア人が居住し、ローマ人が到来する以前から文明が栄えていました。当時、ニンはアエノア（Aenona）と呼ばれ、海運と商業の中心地として発展しました。豊富な考古学的発見は、ニンが古代ギリシャやヘレニズム世界と強く結びついていたことを示しています。

7世紀にはクロアチア人がニンに入植し始め、8世紀から9世紀にかけて初の統一国家が形成されました。ニンはクロアチア初の国王都市となり、7世紀から13世紀にかけて最盛期を迎えました。9世紀には、クロアチア初の司教座が置かれ、司教は国の宗教、文化、政治において大きな影響力を持っていました。また、言語やクロアチアの独立を守るための戦いも繰り広げられました。ニンの歴史は、ヴィシェスラヴ、ブラニミル、トミスラヴ、クレシミル、ズヴォニミルといった王たちと深く結びついています。

オスマン帝国との戦争中、ニンは戦場となり、1409年にダルマチアからヴェネツィア共和国に移譲されると、その支配下に入りました。16世紀から17世紀にかけて、町は2度破壊されています。ニンは経済的に利用されていましたが、軍事的な防衛は十分ではなく、1571年と1646年4月28日に破壊されました。ヴェネツィア政府は、ニンを焼き払い破壊する命令を系統的に出していました。これは、ニンを犠牲にすることで、オスマン帝国からザダルを守るためだったと歴史家は考えています。歴史的な教会や王、司教の地は破壊され、二度と再建されることはありませんでした。

経済

経済的な開発は第二次世界大戦後に始まり、1969年以降は観光地としての開発が進められています。現在では、歴史的な文化遺産を活かした観光開発が中心となっています。近年、多くの重要な記念物が復元され、ニンはクロアチアにとって歴史的に重要な場所として、国内外から多くの観光客が訪れています。特に、旧市街にある9世紀建造の世界一小さな聖堂と呼ばれる聖十字教会や、戴冠式が行われた教会は、ニンのシンボルとして知られています。

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