ネコたちの大作戦

ネコたちの大作戦：トゥイーティー誕生秘話と、意外なユーモア

1942年、ワーナー・ブラザースが制作したルーニー・テューンズのアニメーション短編『ネコたちの大作戦』（原題：Tale of Two Kitties）は、トゥイーティー誕生の物語としてだけでなく、意外な要素を含んだ作品として知られています。監督はボブ・クランペット、脚本はウォーレン・フォスター、音楽はカール・スターリングと、豪華なスタッフが結集しました。

本作の見どころはなんといっても、トゥイーティーの初期の姿と、後に人気キャラクターとなるバビットとキャットステロの初登場です。トゥイーティーは現在のイメージとは異なり、黄色い羽毛に覆われておらず、初期のデザインが確認できます。また、バビットとキャットステロは、人気コメディアン、アボットとコステロをモデルに作られたキャラクターで、本作で彼らのコミカルな掛け合いが初めてスクリーンに登場しました。タイトルは、チャールズ・ディケンズの『二都物語』を彷彿とさせる洒落が効いています。

トゥイーティーの意外な一面

本作では、トゥイーティーのかわいらしい外見とは裏腹な、容赦ない、時にはサディスティックな一面が描かれています。例えば、キャットステロが誤って爆弾を爆発させた際には、「ああ、哀れなネコたん、頭をぶつけちゃった！」と、大きな笑顔で言い放つシーンがあります。これは、アメリカのコメディアン、レッド・スケルトンのギャグをオマージュしたもので、後のワーナー作品にも受け継がれていくことになります。

さらに驚くべきは、1942年当時としては異例と言える、大人向けのユーモアも含まれている点です。キャットステロは、第四の壁を破り、「ヘイズオフィスさえ見てなければ、鳥を出す（中指を立てるという意味）なんて簡単さ。」と発言します。このセリフからも、当時としては大胆な表現が試みられていたことが伺えます。

物語の内容

物語は、二匹の猫、バビットとキャットステロが木の上で眠るトゥイーティーを捕まえようとするところから始まります。二匹は様々な手段を試みるものの、全て失敗に終わります。クライマックスでは、キャットステロが羽根をつけて空を飛び、トゥイーティーを捕まえようとしますが、トゥイーティーは電話で空襲警備隊に連絡。サーチライトでキャットステロは発見され、何度も撃たれる羽目になります。「保険には入らないよね？」と呟くキャットステロの姿は、ユーモラスでありながら、どこか哀愁を漂わせるものがあります。最後は、トゥイーティーに電気を消されるというオチで幕を閉じます。

その後と作品への影響

『ネコたちの大作戦』は、1970年に著作権の更新がなされなかったため、現在米国ではパブリックドメイン作品となっています。そのため、海賊版のビデオ作品も多数出回っているのが現状です。

しかし、この作品が、後のルーニー・テューンズシリーズに与えた影響は計り知れません。バビットとキャットステロは、『シルベスター&トゥイーティー ミステリー』にも出演。また、2022年には、ゲーム『ルーニー・テューンズ：ワールド・オブ・メイヘム』で、バビット、キャットステロ、初期のトゥイーティーがプレイアブルキャラクターとして追加されるなど、現在でも人気を保ち続けています。

『ネコたちの大作戦』は、短い尺の中に、トゥイーティーの誕生、個性的なキャラクターたちの初登場、そして、大人も楽しめるユーモアが凝縮された、まさにルーニー・テューンズを代表する作品の一つと言えるでしょう。その短いながらも印象的な物語は、多くのアニメーションファンを魅了し続け、今も語り継がれています。

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