ネコギギ

ネコギギ（猫義義）

ネコギギは、条鰭綱ナマズ目ギギ科に分類される日本固有の淡水魚です。発見された際はギギモドキという名前でしたが、すでに他の魚にその名が使われていたため、現在の和名に改名されました。

分布

ネコギギは日本の愛知県、岐阜県、三重県に位置する伊勢湾および三河湾の流入河川にのみ生息しています。これは、彼らが特定の地域にだけ出現することを意味し、日本の生物多様性を象徴する存在と言えるでしょう。

形態

この魚は、オスが約13センチメートル、メスが10センチメートルほどに成長します。体形はやや短く、太目の構造をしています。体表は黒褐色で、そこに黄褐色の斑紋が見られるのが特徴です。さらに、尻鰭の鰭条数は16～19で、尾鰭の後端には軽い切れ込みがあります。幼魚のころは色が明るく、斑紋もはっきりとしていますが、成長するにつれてその色合いは徐々に不明瞭になります。

生態

ネコギギは河川の上流や中流域で主に生活し、流れの穏やかな淵や平瀬を好む傾向があります。夜行性であり、昼間は岩の隙間で休息を取っていることが多いです。食性は動物食であり、主に昆虫の幼虫を捕食します。

生殖は卵生であり、6月から7月にかけて石の下などで100〜500個の卵を産むと考えられています。観察によれば、オスはメスが卵を産む際にその卵を温め保護します。孵化には21〜24℃の水温が必要で、60〜80時間で卵が孵ります。孵化後、4日で卵黄を吸収し食事を始めます。生後2年ほどで性成熟し、多くの個体が生後3年から繁殖を始めます。

人間との関係

しかし、ネコギギはさまざまな外的要因によってその生息数が急激に減少しています。ダム建設や河川改修、自然災害などが原因で生息環境が破壊されているほか、工業や農業、家庭から出る排水による水質汚染も深刻な問題です。さらに、天然記念物として保護されていますが、違法な捕獲や、外来魚との競争、さらには捕食の脅威も増しています。

1990年代以降の調査では、ネコギギの生息確認は13の水系から11に減少し、特に五十鈴川と朝明川水系では確認が取れていません。1977年には種として、2011年には三重県の中村川が「中村川ネコギギ生息地」として国の天然記念物に指定されました。三重県では、1988年からその生息調査が進められ、2005年に保護管理方針が定められています。絶滅危惧IB類に指定され、特に危険にさらされている員弁川水系の個体群は飼育下で繁殖させ再導入する試みが行われています。

岐阜県では1990年代から、水の環境を保護するための施策が実施されています。これには、魚巣ブロックの設置や護岸工事の改良が含まれます。三重県でも、2017年にネコギギを希少野生動植物種に指定し、捕獲には届出が求められ、違反者には罰則が科されることがあります。これらの取り組みは、ネコギギを保護するための重要なステップといえるでしょう。

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