ネズミザメ

ネズミザメについて

ネズミザメ（学名：Lamna ditropis）は、ネズミザメ目・ネズミザメ科に分類される大型のサメです。一般的に「モウカザメ」や「カドザメ」としても知られています。日本の北部太平洋地域の亜寒帯海域に広く分布し、最大で全長305cm、体重175kgに達することがあります。寒冷な海域を好みますが、時には回遊し南方の温暖な海域に姿を見せることもあります。

特徴

ネズミザメの特筆すべき点は、独自の内温性を持つことです。多くの魚類が外温動物である中で、ネズミザメは周囲の水温よりも体温を高く保持することができます。この能力は、特に亜寒帯海域での生存に役立ち、獲物を効率的に捕えるための優れた泳力を発揮します。特に、持続的な高速遊泳に特化した筋肉構造を持つため、獲物を追跡する際の利点となっています。

分布と生息環境

ネズミザメは、主に北部太平洋の亜寒帯海域に生息しています。具体的には、ベーリング海、アラスカ湾、プリンス・ウィリアム湾などが生息地として知られています。日本近海でも日本海やオホーツク海に現れ、時にはハワイ沖にまで南下することもあると言われています。そのため、沿岸域および外洋域の双方で観察され、普段は海表面近くを泳ぎながらも、700メートルの深度まで潜ることがあります。

食性と繁殖

食性としては、ネズミザメは主にサケを捕食します。そのため、英語では「Salmon shark」とも呼ばれています。またニシンも好んで食べることから、亜寒帯海域の生態系においては最高次捕食者の地位を占めています。繁殖については、胎生でありながら、母体との直接的なつながりを持った胎盤はないため、栄養は未受精卵を摂取することによって得ます。妊娠期間は約9ヶ月で、一般的に2から6匹の子供を産みます。

名称の由来

このサメの学名「Lamna」は「凶暴な魚」を意味し、種名の「ditropis」は尾柄部に見られる2本の隆起線に由来します。また、和名のモウカザメは地方名に由来し、カドザメという名前はニシンやカツオを捕食することに関連があるとの説もあります。さらに、サケザメ（Salmon shark）という名称も、サケを食べることからきており、水産業においては害魚として扱われることもあります。

人との関わり

ネズミザメは人間を襲う記録はほとんどありませんが、捕食者としては危険な種に分類されています。日本では、食用としても漁獲され、特に宮城県の気仙沼港では刺身などとして消費されています。食用魚としては、比較的アンモニア臭が少なく、淡白で癖がなく、扱いやすいことから人気があります。また、栃木県では「もろ」として切り身が一般的に流通しています。

まとめ

このように、ネズミザメはその特異な生態と特徴によって、海洋生態系において重要な役割を果たしている生物です。また、食材としての価値も高く、地域によっては一般的な食材として親しまれています。

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