ネズミドリ科

ネズミドリ科：アフリカの樹上を駆け巡る小さな鳥たち

ネズミドリ科(Coliidae)は、鳥類の中でネズミドリ目(Coliiformes)に属する唯一の科です。その名の通り、ネズミのように樹上を動き回る姿が特徴的な鳥類で、アフリカ大陸のサハラ砂漠以南に生息しています。

形態：ネズミのような羽毛と特殊な足

ネズミドリは、体長約30～36cmほどの小型の鳥です。頭部には冠羽を持ち、羽毛の色は灰色など、全体的にくすんだ色合いをしています。最も特徴的なのは、その羽毛の質です。一般的な鳥の羽毛は、羽鉤と呼ばれる小さな鉤状の突起によって互いに絡み合い、整然と並んでいます。しかし、ネズミドリの羽毛にはこの羽鉤がありません。そのため、羽毛がバラバラと立ち上がり、まるでネズミの毛皮のようなボサボサとした印象を与えます。

足は、4本の指が全て前を向く「皆前趾足」ですが、後趾と外趾は後ろ向きにも動かすことができる「随意対趾足」です。この特殊な足は、樹上での生活に高度に適応した結果と考えられています。枝をしっかりと掴み、自在に動き回ることを可能にしているのです。

生態：群れで生活し、植物食中心

ネズミドリは、10～30羽程度の群れで樹上生活を送ります。興味深いことに、群れのメンバーが互いに寄り添い、まるで「おしくらまんじゅう」のような塊を形成することがあります。この行動は「クラスタリング」と呼ばれ、ネズミドリ科特有の社会行動として知られています。

食性は主に植物食で、果実、種子、葉などを食べています。しかし、昆虫を食べることもあるようです。その樹上を駆け巡る様子は、まるでネズミが走り回るように見えることから、「ネズミドリ」という名前が付けられました。

系統と分類：フクロウとの意外な関係

[ネズミ]]ドリ科の系統的位置は、長らく議論されてきました。伝統的には、単独でネズミドリ目を構成すると考えられてきました。Sibley分類では、新顎類]の中の[[ネズミドリ小綱(Coliae)を単独で構成していました。

最近の研究では、スズメ目など多くの鳥類を含む「land birds」系統に属することが示唆されています。その中でも、フクロウ目と姉妹群である可能性が高いとされています。詳細な系統関係は、さらなる研究が必要ですが、ネズミドリの進化史は、鳥類の系統進化を考える上で非常に興味深いものです。

属と種：多様なネズミドリたち

ネズミドリ科には、2属6種が知られています。かつては、ネズミドリ亜科(Coliinae)とオナガネズミドリ亜科(Urocoliinae)に分類されていましたが、どちらも単型であるため、現在ではほとんど使われていません。

ネズミドリ属(Colius)には、チャイロネズミドリ、シロガシラネズミドリ、コシアカネズミドリ、セジロネズミドリなど、様々な種が含まれます。オナガネズミドリ属(Urocolius)には、アオエリネズミドリとアカガオネズミドリの2種が知られています。それぞれの種は、生息地や形態、わずかな生態の違いなど、多様な特徴を持っています。

ネズミドリ科は、その独特の形態、生態、そして系統的位置から、鳥類進化研究において重要な位置を占めています。今後も、さらなる研究によって、ネズミドリたちの進化の歴史や、その謎が明らかになっていくことが期待されます。

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