ネッビオーロ

ネッビオーロ：イタリア高級赤ワインの原料

ネッビオーロは、イタリアを代表する赤ワイン用ブドウ品種であり、主に北イタリアの限られた地域で栽培されています。その栽培の難しさから「ブドウ栽培の王様」とも呼ばれ、バローロやバルバレスコといった高級ワインの原料として世界的に知られています。

起源

ネッビオーロは、ピエモンテ州原産と考えられています。古代ローマ時代には、すでにこの地で高品質なワインが造られていた記録があり、その特徴からネッビオーロが使われていた可能性が指摘されています。13世紀には「ニビオール」という名前で記録されており、これがネッビオーロという名前の最古の記録とされています。

品種

ネッビオーロにはいくつかのクローンが存在し、それぞれに特徴があります。代表的なものとしては、ネッビオーロ・ランピア、ネッビオーロ・ミケ、ネッビオーロ・ボッラなどが挙げられます。また、ネッビオーロは地域によって異なる名前で呼ばれており、ピエモンテ州北部ではスパンナ、ロンバルディア州ではキアヴェンナスカなどと呼ばれています。

栽培

ネッビオーロは栽培が非常に難しい品種として知られています。病害に弱く、春の霜や収穫期の降雨にも影響を受けやすいため、栽培には細心の注意が必要です。また、晩熟な品種であるため、収穫は10月後半から11月と遅くなります。この時期にブドウ畑を覆う霧（イタリア語でNebbia）が、ネッビオーロの名前の由来であるという説もあります。生育には適したテロワールが重要で、ピエモンテでは標高150～300メートルの南向き斜面が最適とされています。

生産地域

ネッビオーロは、主にイタリア北部のピエモンテ州、ロンバルディア州、ヴァッレ・ダオスタ州などで栽培されています。ピエモンテ州では、栽培ブドウの約8%を占めており、特にランゲ地方が主要な産地です。バローロとバルバレスコは、D.O.C.G.に登録されているイタリア屈指の高級ワイン産地として知られています。イタリア以外では、アメリカ、オーストラリア、メキシコ、アルゼンチン、日本などでも栽培されていますが、生産量はごくわずかです。

ワインのスタイル

ネッビオーロから造られるワインは、色素が少ないため、淡いルビーやガーネット色をしています。スミレ、バラ、チェリー、プラムなどの香りが特徴的で、ピノ・ノワールとの共通点も指摘されます。タンニンと酸味が非常に強いため、長期熟成に向いており、熟成とともに腐葉土、キノコ、タバコ、皮革などの複雑な香りが生まれます。近年では、マセラシオン期間を短縮したり、小樽を使用するなどして、比較的早く楽しめるスタイルのワインも造られるようになりました。

ネッビオーロは、その栽培の難しさから「ブドウ栽培の王様」とも呼ばれますが、その土地の個性を反映した高品質なワインを生み出すことで、世界中のワイン愛好家を魅了し続けています。

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