ネバーセイ・ネバーアゲイン

『ネバーセイ・ネバーアゲイン』（原題: Never Say Never Again）は、1983年にアーヴィン・カーシュナーが監督を務めたスパイ映画である。この作品は、1961年に発表されたイアン・フレミングの小説『サンダーボール作戦』を基にしたストーリーであり、フレミング、ケヴィン・マクロリー、ジャック・ウィッティンガムの共同で書かれた脚本が原点となっている。この映画は、イーオン・プロダクションズ製ではなく、ジャック・シュワルツマンのタリアフィルムによって製作された。

本作はショーン・コネリーにとって7回目であり、最後のボンド役としての出演となった。彼が『ダイヤモンドは永遠に』以来12年ぶりにボンドに戻ることは、大きな話題となった。1983年10月にワーナー・ブラザースから公開された本作は、コネリーとクラウス・マリア・ブランダウアーの演技が高く評価され、商業的にも成功した。興行収入は約1億6千万ドルに達したものの、同年に公開されたイーオン製作の『オクトパシー』には及ばなかった。

映画の概要

この映画は、イーオン・プロダクションやその他の主要制作会社とは無関係であり、コネリーが久々にボンド役を再演した作品の一つである。撮影は主にバハマ、フランス、スペイン、イギリスで行われ、国際的なロケーションが印象を与える。タイトル「ネバーセイ・ネバーアゲイン」は、コネリーの妻が言った「もうボンドを演じないなんて言わないで」という言葉に由来する。コネリーは劇中で「二度とごめんだ」と答え、彼の特徴的なウインクで締めくくるシーンが印象的だ。

本作は、厳密にはリメイクではなく、オリジナル脚本『James Bond, the Secret Service』を改訂したものであり、原作小説『サンダーボール作戦』とは異なる部分が多く含まれた。特に本作では、様々な新しいキャラクターや展開が盛り込まれ、イギリス秘密情報部(MI6)のエージェント、ボンドの冒険が描かれる。

ストーリーの展開

物語は、ボンドが定期訓練で不合格になり、上司のMから身体を鍛えるために診療所へ行くように命じられるところから始まる。そこで、ボンドは看護師ファティマ・ブラッシュが患者に対して暴力を加えているのを目撃する。ブラッシュは実は犯罪組織「SPECTRE」の一員であり、ボンドの任務のきっかけとなる。物語は当初からスリリングな展開を見せ、ボンドは様々な冒険を通じて、組織の陰謀を阻止しようと奮闘することになる。

ボンドは、ブロフェルドが指揮するSPECTREの企みを暴くために、仲間たちと共に行動し、ラルゴのヨットやカジノでの対決など多彩なアクションシーンが展開される。また、ヒロインのドミノとのロマンチックな関係も物語の重要な要素となっている。

製作背景

『ネバーセイ・ネバーアゲイン』は、コネリー自身が多くの制作面で力を発揮した作品であり、彼の人脈によって支えられた。シュワルツマンのタリアフィルムが製作を担当し、本作には多くの独立した作品としての側面がある。そのため、一俳優が中心となったインディペンデントな試みとしても評価される。

また、音楽ではミシェル・ルグランが担当し、テーマ曲も彼の手による。映画公開当時にはサウンドトラックがリリースされていなかったが、日本国内では後にCDとして再発され、多くのファンに親しまれている。

限界と評価

公開当初、コネリーは本作の完成度に対して「100点中60点」と評価し、製作チームがボンド映画製作に不慣れであると指摘した。しかし、時間が経つにつれ、この映画はコネリーの最後のボンドとしてファンの間で特別な存在となった。共演者たちの演技や新たな試みが評価され、今日に至るまで記憶に残る名作として語り継がれている。

『ネバーセイ・ネバーアゲイン』は、ボンド映画の新たな一面を切り開いた作品として、コネリーのキャリアにおいても忘れられない作品となっている。

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