ネビュラ賞

ネビュラ賞について

ネビュラ賞（The Nebula Awards）は、アメリカSFファンタジー作家協会（SFWA）が主催する、主としてスペキュレイティブ・フィクションおよびファンタジー作品に対する著名な文学賞です。この賞は、前暦年にアメリカ合衆国内で発表された英語の作品を対象としており、賞の名称は「星雲」を意味する「ネビュラ」に由来しています。

この賞は、SFやファンタジー作品において最も権威のある賞の一つとされ、ヒューゴー賞と並ぶ存在です。ヒューゴー賞が一般ファンの投票によって選出されるのに対し、ネビュラ賞はSFWAの会員の投票で選ばれるため、より専門的な視点が反映されます。2024年現在、SFWAの会員数は2300人以上に達しています。

対象作品と選考プロセス

ネビュラ賞は、毎年11月15日から翌年の2月15日までの期間に予備投票を実施し、ここで得票数が最も多い作品6作が最終候補作として選ばれます。この予備投票には、SFWAの会員だけでなく、一般の著作も推薦対象となります。最終的な本投票は3月に行われ、5月には授賞セレモニーで受賞作が発表されます。

また、会員は自身の作品に投票することを禁じられており、優れた作品を公正に選出する体制が整っています。もし本投票で同数となった場合、予備投票での得票数が多い方が受賞作として選ばれます。

受賞者には、特徴的なデザインのトロフィーが贈られます。このトロフィーは、渦巻き状の星雲と惑星を象った宝石が埋め込まれた透明なブロックで、ケイト・ウィルヘルムのスケッチを基にJ・A・ローレンスによって制作されました。なお、賞金は含まれません。

歴史

ネビュラ賞の第一回授賞は1966年に行われ、1965年に発表された作品が対象でした。この賞の設立提案は、当時のSFWAの会計担当であったロイド・ビッグル・ジュニアによるもので、受賞作のアンソロジーを刊行し、その収益を賞の運営に充てるというアイデアが基になっています。この賞はエドガー賞やヒューゴー賞のシステムを参考にしたもので、様々な部門が設けられています。

当初は、長編や中編、短編といった部門があり、今でもこれらの部門が続いています。1970年には「受賞なし」という選択肢が追加され、実際に数回この結果を得たこともあります。対象期間も段階的に変更され、現在は前暦年に公表された作品のみが対象となっています。

2017年には、ゲームのシナリオなどを対象とした「ゲームライティング部門」が新たに設けられ、さらに広範な作品に評価を与える場となっています。

セレモニーと他の賞

ネビュラ賞の授賞式では、この賞以外にも幾つかの栄典が授与されます。その中には、1975年から始まったデーモン・ナイト記念グランド・マスター賞や、1995年に設けられた名誉作家賞があります。また、2010年度からは新たにソルスティス賞も創設され、SFやファンタジーの発展に寄与した作家を称える場となっていますが、これらの賞は毎年授与されるわけではありません。

日本の星雲賞や中国の銀河賞などと名前は似ていますが、ネビュラ賞とは直接の関連はありません。これにより、各国でのSF・ファンタジー文学の発展と評価の多様性が示されています。

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