ネフェルウ3世

ネフェルウ3世について

ネフェルウ3世（Neferu III）は、古代エジプト第12王朝の王妃であり、アメンエムハト1世と彼の妻ネフェルイタチェネンの子女です。彼女は、センウセレト1世（在位：前1965年頃-前1920年頃）の同母の姉妹かつ妻でもあり、アメンエムハト2世の母親としても知られています。彼女は「王の娘」「王の妻」「王の母」といった重要な肩書きを有し、当時のエジプトにおける王族の重要性を象徴しています。

古代エジプトの王妃についての情報は主に葬祭関連の文書に依存しており、ネフェルウ3世もその例に漏れません。彼女に関する具体的な記録は、アメンエムハト1世が建立したピラミッド複合体から見つかった石の断片や、センウセレト1世が彼女のために建設した神殿、さらにはセンウセレト1世自身のピラミッド複合体におけるネフェルウ3世専用のピラミッドから得られています。ただし、彼女はこのピラミッドに実際に埋葬されていない可能性も指摘されています。

また、ネフェルウ3世は古代エジプト文学の名作『シヌヘの物語』にも登場します。この物語では、流浪の旅からエジプトに帰ってきたシヌヘを王女たちと共に迎えるシーンが描かれており、センウセレト1世の妻としての彼女の重要性が示されています。この物語は彼女のイメージを強く印象づける作品の一つといえるでしょう。

ネフェルウ3世に関する文献は、エジプトの歴代王族についての詳細な研究を行うための参考資料となる重要な要素であり、彼女の存在は古代エジプトの女性の立場や社会的地位を理解する上で重要です。特に、彼女が持っていた多様な肩書みは、エジプト社会における王妃の役割の複雑さを表しています。

これらの情報から見ると、ネフェルウ3世は単なる王妃ではなく、古代エジプトにおける権力と家系の中心的な存在であったことが理解できます。彼女の人物像は、古代エジプトの社会構造や文化を知る上で貴重な手がかりとなり、今後の研究でも重要な役割を果たすことでしょう。

文献リスト

• - 杉勇、三笠宮崇仁編、屋形禎亮 訳「シヌヘの物語」『古代オリエント集』筑摩書房、1978年4月、403-414頁。ISBN 978-4-480-20601-5。
• - エイダン・ドドソン、ディアン・ヒルトン『全系図付エジプト歴代王朝史』池田裕訳、東洋書林、2012年5月。ISBN 978-4-88721-798-0。
• - ジョイス・ティルディスレイ『古代エジプト女王・王妃歴代誌』吉村作治監修、月森左知訳、創元社、2008年6月。ISBN 978-4-422-21519-8。
• - マイケル・ライス『古代エジプト人名辞典』大城道則監訳、柊風舎、2022年3月。ISBN 978-4-86498-090-6。

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