ネプツニウムの同位体

ネプツニウムの同位体とその特性

ネプツニウム (Np) は、周期表で 93 番目に位置する元素で、特異な特徴を持つ金属です。主な特性の一つは、安定な同位体を持たない点です。このため、一般的に用いられる標準原子量を設定することが不可能です。ネプツニウムには 19 種類の放射性同位体が存在し、その特性は放射能や半減期によって異なります。中でも、最も安定な同位体は半減期が 214 万年である 237Np です。次いで、半減期 15.4 万年の 236Np、さらに半減期 396.1 日の 235Np が続きます。この他にも、ネプツニウムには半減期が4.5日以下の同位体が多数存在し、その多くは50分以下で崩壊するため、取り扱いには特別な注意が求められます。さらに、4種類の核異性体も存在し、最も安定したものは 236mNp で、半減期は 22.5 時間です。

同位体質量の範囲

ネプツニウムの同位体質量は、225.0339 u (225Np) から 244.068 u (244Np) までと幅広く、その性質は同位体によって様々です。

ネプツニウム237 (237Np)

ネプツニウム237は、主にウラン238によって高速中性子が照射されることにより生成されます。この過程で生成されたウラン237はベータ崩壊を経て、ネプツニウム237に変わるのです。237Npは、核兵器の爆発によっても生成されるため、核実験の放射性降下物としての一面も持っています。このことから、237Npは放射線の研究や核廃棄物管理において重要な役割を果たしています。

ネプツニウムの同位体リスト

以下は、ネプツニウムの主な同位体およびそれらの半減期を示す一覧です：

• - 237Np - 半減期: 214万年
• - 236Np - 半減期: 15.4万年
• - 235Np - 半減期: 396.1日
• - 234Np - 半減期: 不明 (推定値)

核スピンと誤差

リスト中で「#」でマークされた値は、実験値に基づかず、体系的な傾向から導き出された推定値が含まれています。また、核スピンに関して明確なデータがない場合は、かっこ書きで表記されています。データ末尾のかっこ内は、その値の誤差を示しています。誤差は同位体の構成や標準の原子質量に関しては、国際純正・応用化学連合 (IUPAC) によって公表されたものを基にしています。

参考文献

本記事の内容に関しては、以下の文献に基づいています。これらの資料は、ネプツニウムやその同位体の性質、データについての重要な情報源です。

1. G. Audi et al.による「Ame2003 Atomic Mass Evaluation (Nuclear Physics A729, 2003)」
2. IUPAC技術報告「Atomic weights of the elements. Review 2000」
3. 核物理学と崩壊物性についての評価「The Nubase2003 evaluation of nuclear and decay properties (Nuc. Phys. A 729, 2003)」
4. ブルックヘブン国立研究所の「NuDat 2.1 database」
5. CRC出版の「CRC Handbook of Chemistry and Physics, 85th Edition」

これらの資料は、ネプツニウムに関する理解を深めるための重要な手助けとなります。

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