ネメシス/S.T.X

映画『ネメシス/S.T.X』の概要

『ネメシス/S.T.X』（Star Trek Nemesis）は、2002年に公開されたアメリカのSF映画で、スタートレックシリーズの劇場版としては第10作目にあたります。本作は『新スタートレック』シリーズのキャストが出演する最後の作品とされ、特に彼らの物語が集約される重要な作品となっています。注目すべきは、アクションシーンやCG技術を駆使し、新キャラクターであるレムス人や宇宙艦「シミター」の登場があることです。

タイトルの意味

映画のタイトル「ネメシス」は、ローマ神話に登場する復讐の女神を象徴しています。劇中には直接「ネメシス」という言葉は登場しないものの、主要キャラクターであるシンゾンの行動や物語の展開がこの言葉の意味を反映しています。英語のタイトルは伝統的な「Star Trek: ○○」形式を踏襲しており、国内の公開時には「スタートレック」が省かれただけでなく、DVD版では「スター・トレック ネメシス」というタイトルが付けられています。また、副題の「S.T.X」の「X」は、シリーズにおける本作の番号を示すローマ数字です。

ストーリーの流れ

物語は2379年に設定され、同年、ロミュラン帝国ではシンゾンによるクーデターが起きます。一方、地球では宇宙艦エンタープライズの元副長ライカーとカウンセラーのトロイが結婚することになりました。彼らはトロイの故郷へ向かう航海中、ロミュランとの中立地帯近くからの陽電子波を検知し、アンドロイドB-4を発見します。B-4はデータの記憶を与えられますが、完全には機能しません。

続いて、エンタープライズはロミュラン帝国との和平交渉の任務を受け、ロミュラスに到着します。そこでピカードは、新総督シンゾンが自らのクローンであることを知ります。交渉が進む中、シンゾンの真の目的が明らかになり、B-4を使って宇宙艦隊の機密情報を盗もうとします。さらには、シンゾンはピカードやデータを誘拐し、彼らとの衝突に至ります。

最終対決

シンゾンの目的は、病気を治療するためにピカードから骨髄移植を受けること、さらにはシミターに搭載された超巨大セラロン放射線装置を使って地球を滅ぼそうとすることでした。エンタープライズは地球防衛のために急行する中、シンゾンの襲撃を受け、壮絶な戦いが繰り広げられることになります。シミターとの戦闘では、エンタープライズは甚大な被害を受けながらも、戦闘不能となります。しかし、ピカードやデータはシミターに乗り込み、最後の抵抗を試みます。

主要キャスト

本作にはダイナミックなキャストが揃っています。ジャン＝リュック・ピカード艦長役をパトリック・スチュワートが演じ、ウィリアム・ライカー副長役にはジョナサン・フレイクスが起用されています。さらに、データ役のブレント・スパイナーやカウンセラー・トロイ役のマリーナ・サーティスらも重要な役割を果たします。新キャラクターのシンゾンはトム・ハーディが演じ、彼の魅力的な演技が物語の緊張感を一層高めます。

製作背景と特筆点

本作ではCG技術が新たにデジタル・ドメイン社に変更され、シミターやエンタープライズのデザインにも変化があります。また、データが歌う曲「ブルー・スカイ」は、1926年のミュージカルに由来するスタンダード・ナンバーであり、作品に深みを与えています。

『ネメシス/S.T.X』は、スタートレックシリーズの集大成ともいえる作品であり、サイエンスフィクションファンには必見の作品となっています。

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