ネロ・ウルフ

ネロ・ウルフ:傑作推理小説に登場する名探偵



ネロ・ウルフは、レックス・スタウト作の推理小説に登場する、架空の私立探偵です。その個性的なキャラクターと卓越した推理力で、シャーロック・ホームズと並び、多くのファンを魅了し続けています。

概要



ネロ・ウルフは、ニューヨークマンハッタン西35丁目に居を構える、並外れた巨漢の私立探偵です。彼は、美食家として知られ、料理には並々ならぬこだわりを持っています。そのため、料理人のフリッツ・ブレンナーを個人的に雇い、日々の食事を任せています。また、彼は極度の外出嫌いですが、食のためならば例外的に外出することもあります。年齢は56歳で、これは作中の時代設定が変化しても一貫しています。ネロ・ウルフは、モンテネグロ出身のアメリカ市民です。

彼は、外出を極端に嫌うため、助手のアーチー・グッドウィンをはじめとする調査員を駆使して捜査を行います。彼らが集めた情報を基に、自宅にいながらにして難事件の謎を解き明かします。そのスタイルは、事件現場に赴くことすらない、まさに典型的な安楽椅子探偵と言えるでしょう。

また、ネロ・ウルフは蘭の栽培に情熱を注いでおり、食事と蘭の世話は、彼にとって欠かすことのできない日課となっています。これらの時間を何よりも大切にしており、その間は一切の依頼を受け付けません。そして、美食と蘭の栽培には多大な費用がかかるため、彼の依頼料は非常に高額です。

著名なシャーロキアンであるW.S.ベアリング=グールドは、その著書『シャーロック・ホームズ ガス燈に浮かぶその生涯』の中で、ネロ・ウルフはシャーロック・ホームズアイリーン・アドラーの息子であるという説を提唱しています。

アーチー・グッドウィン



アーチー・グッドウィンは、ネロ・ウルフの助手であり、彼とは対照的な、痩身でハンサムな青年です。その役割は、シャーロック・ホームズ作品におけるワトスンのようなもので、出不精なネロに代わって事件現場などに赴き、情報収集を担当します。彼の行動力と社交性は、ネロ・ウルフの捜査において不可欠な要素となっています。

長編作品



毒蛇(Fer-de-Lance 1934)
腰ぬけ連盟(The League of Frightened Men 1935)
ラバー・バンド(The Rubber Band 1936)
赤い箱(The Red Box 1937)
料理長が多すぎる(Too Many Cooks 1938)
シーザーの埋葬(Some Buried Caesar 1939)
我が屍を乗り越えよ(Over My Dead Body 1940)
遺志あるところ(Where There's a Will 1940)
語らぬ講演者(The Silent Speaker 1946)
女が多すぎる(Too Many Women 1947)
Xと呼ばれる男(And Be a Villain〔英題:More Deaths Than One〕1949)
The Second Confession 1949
In the Best Families 1950
編集者を殺せ(Murder by the Book 1951)
Prisoner's Base〔英題名 Out Goes She〕1952
黄金の蜘蛛(The Golden Spiders 1953)
黒い山(The Black Mountain 1954)
Before Midnight 1955
殺人犯は我が子なり(Might as Well Be Dead 1956)
If Death Ever Slept 1957
Champagne for One 1958
殺人は自策で(米題名 Plot It Yourself、英題名 Murder in Style 1959〕
Too Many Clients 1960
究極の推論(The Final Deduction 1961)
ギャンビット(Gambit 1962)
The Mother Hunt 1963
A Right to Die 1964
ネロ・ウルフ対FBI(The Doorbell Rang 1965)
Death of a Doxy 1966
ファーザー・ハント(The Father Hunt 1968)
Death of a Dude 1969
マクベス夫人症の男(Please Pass the Guilt 1973)
* ネロ・ウルフ最後の事件(A Family Affair 1975)

その他



ジョージ・アレック・エフィンジャーのSF小説『重力が衰えるとき』には、人間の頭脳に接続された端末に、他人の人格モジュールを入れて、その人になりきることができるという設定が登場します。作中では、主人公が事件を解決するために、ネロ・ウルフの人格モジュールを使用する場面が描かれています。

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