ネーデルラント17州

ハプスブルク領ネーデルラント（Habsburgse Nederlanden）



ハプスブルク領ネーデルラントは、1560年頃に低地諸国に存在した国家群で、当時のカスティーリャ国王およびスペイン国王が君主でした。この地域は現在のオランダ王国、ベルギー王国、ルクセンブルク大公国、さらにはフランス北部のアルトワやノール、ドイツの一部を含みます。領域は多様な州に分かれており、ネーデルラントの歴史や政治形態にも重要な影響を持ちました。

17州の構成



ネーデルラントの主な領域は、以下の17州から成り立っていました：


特に、リールとモンスの間に位置する青いエリアは17州の一部とみなされていましたが、リエージュ司教領は含まれていませんでした。これらの州は、ネーデルラント全国三部会に代表者を送りましたが、常に同じ17州であるとは限りませんでした。

歴史的背景



この地域の歴史は1477年のシャルル突進公の戦死から始まりました。彼には遗産を引き継ぐ男子がなく、そのため彼の娘マリー女公の夫であるマクシミリアン大公がブルゴーニュ公国を継承しました。その後、マリー女公の死を受けて有力貴族による反乱が発生し、マクシミリアンは公の威厳を失いました。彼の子であるフィリップ美公が後を引き継ぎ、ついにはシャルルが統治者となります。

1516年にはカスティーリャとアラゴンの王位を獲得し、1519年には神聖ローマ皇帝カール5世に即位するなど、彼は幅広い影響力を持つことになりました。各州はカールのもとで徐々に統合され、1543年にはゲルデルン州が追加され、全17州が形を成しました。

統治体制と政治



カール5世の時代には、低地地方はブリュッセルを行政的中心に置き、中心化した統治を進めました。彼は地域を一つにまとめるために様々な手段を講じ、周辺地域に対して強権を発揮していきました。しかし、その一方で領地間には個別の国家としての独立性も存在し、統一された国家組織は無かったと言えます。1548年のアウクスブルク議会で、低地地方は「17州」として正式に認識され、「プラグマティック・サンクシオン」により恒久的にハプスブルク家に引き継がれることが決定されました。

八十年戦争とその影響



1556年、カール5世が退位した後、領土は息子フェリペ2世と弟フェルディナント1世に分けられ、ネーデルラントはフェリペに相続されます。この時期、フェリペ2世とネーデルラントの人々との対立が生じ、1568年から八十年戦争が始まります。北部の7州がネーデルラント連邦共和国として独立を果たす一方、南部の州はスペインの支配下に戻されました。特にアントウェルペン包囲はこの時代の重要な出来事として知られています。

経済動向



16世紀半ばには、メヘレンからブリュッセルへと首都が移り、アントウェルペンが経済、政治、文化の中心地となりました。フランドル地域のブルッヘは経済の繁栄を失いつつあり、代わりにホラント州が重要性を増していきました。しかし、八十年戦争では、北部7州が独立し、南部から多くの人々が北部へと移住しました。このことで経済の中心は南部から北部のアムステルダムやハーグ、ロッテルダムへと移っていきました。

このように、ハプスブルク領ネーデルラントは、政治的、経済的に多様な側面を持った地域であり、歴史の中で多くの重要な事件を生み出しました。

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