ノイエンガンメ強制収容所

ノイエンガンメ強制収容所

ノイエンガンメ強制収容所（独: KZ Neuengamme）は、ナチス・ドイツの強制収容所の一つであり、エルベ川の右岸にあるアルテンガンメ村に位置していました。この収容所は、1938年12月にザクセンハウゼン強制収容所から作業囚人が送られてきたことをきっかけに設立されます。最初は仮の収容所として煉瓦工場が接収され、その後正式に「ノイエンガンメ」と名付けられたのです。

収容所は、1941年には20ヘクタールの面積を持ち、囚人たちは木造のバラックに収容されていました。通常、一つのバラックには約300人の寝台しかなかったにもかかわらず、戦争後期にはなんと900人以上が押し込められる状態でした。収容所は、2.5メートルの高さの鉄条網で覆われ、監視塔が設置されるなど、厳重な警備が施されていました。この鉄条網の周囲には、さらに3メートルの高さの堀が存在し、外界との接触を完全に遮断していました。

ノイエンガンメは、最初はザクセンハウゼンの労働キャンプの付属施設でしたが、1939年に独立を認められました。その後、1941年には国家保安本部の政策に従い、重大犯罪者を収容する「第二カテゴリー」として分類されます。収容所に送られた囚人は、軍需産業や海軍基地での労働を強いられ、特にポーランドやロシアからの囚人が多く送り込まれていました。彼らは、フランスからの捕虜に対しても、対独協力者としての迫害が行われることがありました。

ノイエンガンメは、絶滅収容所ではありませんでしたが、処刑センターとしても機能しました。大量の処刑が行われ、特に絞首刑が一般的でしたが、ガスによる処刑も行われたことが戦後の裁判で明らかにされています。1942年には、193人のソ連人捕虜がガスで処刑されるなど、多くの命が奪われました。また、殺害された囚人の遺体は「ゾンダーコマンド」と呼ばれる特別な囚人たちによって焼却され、そのメンバーは秘密保持のために数ヶ月ごとに交替させられました。

1945年、連合軍が西部戦線で進撃する中、収容所の囚人たちは「死の行進」と呼ばれる過酷な移送を強いられました。下部労働キャンプからノイエンガンメへの収容や、さらなる移送が行われ、多くが命を落としました。特にリューベックへの移送ルートでは、数回の航空攻撃により、収容された囚人たちは壊滅的な被害を受けました。

収容所の運営

ノイエンガンメの所長は、1940年から1945年までの間に複数の指導者が交替しました。その中で、特にマックス・パウリー親衛隊大佐が1942年以降収容所を指揮していました。彼の後、囚人たちの管理には多くの看守が関与し、残虐行為で悪名高い者たちも存在しました。

ノイエンガンメ強制収容所は、最終的に70以上の労働キャンプを抱え、多数の国々から囚人が集められました。これらのキャンプでは、さまざまな仕事を強制され、多くの囚人が過酷な環境に耐えていました。

収容所の歴史は、ナチス政権下の非人道的な措置を象徴するものであり、多くの命が奪われた悲劇の舞台です。戦後も、収容所での出来事は、歴史的な教訓として語り継がれています。

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