国家保安本部

国家保安本部（RSHA）

国家保安本部（Reichssicherheitshauptamt der SS）、通称RSHAは、ナチス・ドイツの親衛隊（SS）の主要な部門の一つであり、政治警察としての機能を果たしました。この機関の主な役割は、ドイツ国内及び占領地における敵対勢力の監視、情報収集、そして排除です。英訳では「Reich Security Main Office」とされ、この役割は歴史の中で特に悪名高いものとなりました。

概要と設立の背景

1933年1月、ナチ党が政権を掌握した後、ハインリヒ・ヒムラーは政権維持のために反体制派の抑圧が必要であると認識しました。1936年には警察組織を親衛隊に統合し、1939年にはラインハルト・ハイドリヒが保安局（SD）とゲシュタポ（秘密国家警察）、さらに刑事警察局を国家保安本部の傘下にまとめることで、全国的な監視体制を確立しました。

この組織の活動は、第二次世界大戦の進展に伴い、ポーランドやヨーロッパの占領地においても行われました。特にゲシュタポの行動は、抵抗勢力の弾圧やユダヤ人の根絶に関連しており、その名は広く知られることとなりました。

沿革

RSHAの前身である親衛隊は1925年に創設され、アドルフ・ヒトラーの個人警護のための部隊として設立されました。1929年にはヒムラーが指導者となり、1931年にはSD（親衛隊情報部）を指揮するようになります。ヒトラーが全権委任法を通過させた1933年この頃から、警察の権限を強化し続けることとなります。

1934年には長いナイフの夜の事件が発生し、ヒムラーは反体制派の人間を排除しました。1936年にはヒムラーが全ドイツの警察の長として権力を掌握し、保安警察機能を強化するために各部門に指揮を分散させました。

1939年、ハイドリヒは政治警察の活動を統一するため、全ての部門をRSHAの下にまとめたことで、一元的な監視ネットワークが完成しました。

戦争と大量殺戮

戦争の拡大とともに、RSHAは占領地域でのユダヤ人の排除を指導し、アインザッツグルッペンと呼ばれる特別殺戮部隊を編成しました。これらの部隊は、占領地でのユダヤ人の殲滅を目的に動きました。直接的な銃撃による大量殺戮に対する精神的負担が問題視され、後にアウシュビッツではガス室による大量殺戮が考案されることとなりました。

組織と活動の影響

RSHAはベルリンの複数の場所にオフィスを持ち、その中心的な役割を果たしました。1941年にはRSHAの組織構成を再編成し、海外の諜報部門を他の局と共有しました。また、敗戦が近づくにつれて、情報機関としての機能を果たすために国防軍情報部との連携を深めていきました。

このように、RSHAはナチス・ドイツの恐怖政治を支える重要な役割を担っており、その活動は多くの罪に繋がりました。特にその構造は、戦争中に生じた数々の悲劇に直接的な影響を与えました。歴史の教訓として、RSHAの存在は決して忘れ去られることがあってはなりません。

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