ノガン

ノガンの概要

ノガン（野雁）、学名Otis tardaは、ノガン目に属する鳥類です。一般に山七面鳥とも呼ばれ、ノガン科の代表的な種として知られています。この種は、ノガン属を唯一の属とし、そのためこの属はノガン科内の典型として位置づけられています。

分布

ノガンは、主に以下の2つの亜種が存在します。

O. t. dybowskii

この亜種は、主に中華人民共和国東部やモンゴル、ロシア南西部に生息しています。繁殖期はロシア南西部で過ごし、冬になると中華人民共和国へ南下して越冬します。また、日本においても、主に冬季に迷い鳥として記録されています。

O. t. tarda

こちらは、ウクライナ、カザフスタン、スペインなど中華人民共和国北西部、及びドイツやトルクメニスタン、トルコ、モロッコ北部にも生息しています。この亜種は夏に中華人民共和国西部からヨーロッパ、またイベリア半島で繁殖し、東部の個体群は西アジアで越冬します。

形態

ノガンは、現存する飛ぶ鳥の中では最も重い体重を持つことで知られています。特にオスは全長が100–105cm、メスは75–80cm程度になります。翼を広げると190–260cmにも達します。オスは体重が約18kg、メスは3–5kgと、明らかにオスの方が大きくなります。

羽毛は通常、背面が黄褐色や赤褐色で、黒い横縞が見られます。頭部や胸部は淡褐色で、腹部は白色の羽毛に覆われています。翼には白い羽毛があり、初列風切の全てと次列風切の先端は黒色です。幼鳥は淡い褐色の羽毛を持ち、オスが成鳥になると頭部から頸部にかけて明灰色の羽毛に変わり、繁殖期には胸部が赤褐色になります。

分類

ノガンは、以下のように分類されます：

• - Otis tarda dybowskii (Taczanowski, 1874) – ノガン
• - Otis tarda tarda (Linnaeus, 1758)

生態

ノガンは半砂漠地帯や草原、農耕地に生息しており、通常は群れを形成します。これには同世代や同種の個体が集まることが多いです。食性は雑食性で、草の葉や果実、昆虫などを食べます。

繁殖行動はユニークで、オスが集団で求愛活動を行うレックと呼ばれる場所を形成します。オスは喉袋を膨らませ、羽根を大きく広げることでメスにアピールします。繁殖期間は4月から7月で、メスは通常1-4個の卵を産み、抱卵はメスのみが担当し、約21-28日です。オスは5-6年、メスは2-3年で性成熟します。

人間との関係

ノガンはかつて森林の伐採により分布域が広がりましたが、現在では開発や乱獲、農薬の影響、電線による感電死などの要因で生息数が減少しています。特に、旧ソビエト連邦では1970年に8,650羽いたとされる生息数が1980年には2,980羽まで減少しました。この状況は、彼らの保護活動が急務であることを示しています。

ノガンは量的、および生態的に重要な鳥であり、今後の生存を脅かす要因に対処することが求められています。

もう一度検索