ノジオーラ

ノジオーラ (Nosiola)

ノジオーラは、イタリアのトレンティーノ＝アルト・アディジェ州トレント県ヴァッレ・デイ・ラーギ地方を中心に栽培されている、歴史ある白ブドウ品種です。ガルダ湖の北に位置するこの地域で、ノジオーラは独特の風味を持つワインを生み出しています。別名グロッペッロ・ビアンコとも呼ばれています。

起源と歴史

ノジオーラの名前の由来にはいくつかの説があります。

ヘーゼルナッツ説: イタリア語でヘーゼルナッツを意味する「ノッチョーラ (nocciola)」に由来するという説。ノジオーラのワインが持つ、炒ったヘーゼルナッツのような独特のアロマにちなむとされます。
果実の色説: 熟しても黒ずんだ茶色にならないノジオーラの果実の色合いから名付けられたという説。
方言説: トレンティーノ地方の方言で「小さな目」を意味する「オチオレット (ociolet)」が転訛したという説。

古代ローマ時代のブドウ品種ラエティカ (Raetica)との関連性も指摘されていますが、決定的な証拠は見つかっていません。
DNA分析の結果、スイスのレーズ (Rèze) という品種と親子関係にあることが判明しました。

栽培と特徴

ノジオーラの果房は中程度の大きさで細長く、果粒も中程度です。成熟期は中期から晩期で、春の霜害や湿気に弱く、サワー・ロット病やうどんこ病などの病害にもかかりやすい品種です。
果皮が薄く乾燥しやすい性質から、パッシートタイプのワイン製造にも向いていますが、穂梗の部分も乾燥しやすいため、注意が必要です。

ワイン生産地域

ノジオーラの栽培面積のほとんどは、トレント県のヴァッレ・デイ・ラーギに集中しています。その他、ボルツァーノ県メラーノやトレント県のヴァラガリーナ、ヴァッレ・ディ・チェンブラでも栽培されています。

特に、カラヴィーノ、カヴェーディネ、ラジーノなどの地域では、デザートワイン「ヴィーノ・サント (Vino Santo)」専用のノジオーラが栽培されています。収穫後のブドウを陰干しすることで糖度を高め、長期熟成を経て、独特の風味を持つヴィーノ・サントが生まれます。

D.O.C.認定ワイン

ノジオーラは、以下のD.O.C.認定ワインに使用されています。

トレンティーノ DOC (Trentino DOC): ノジオーラを85%以上使用したセパージュワイン。スペリオーレや遅摘みの甘口タイプも存在します。ソルニ (Sorni)地区のビアンコ（白ワイン）の主要品種としても使用されます。
ヴァルダディジェ/エッチターラー DOC (Valdadige/Etschtaler DOC): 白ワインのブレンド用品種として使用されます。

ワインの特徴

ノジオーラのワインは、一般的に芳香が強く、ライトボディで、かすかな苦味を伴います。辛口のセパージュワインでは、柑橘類やアプリコット、桃の香りに加え、ヘーゼルナッツの香りが特徴的です。ヴィーノ・サントは、より濃厚で甘美な味わいを持ち、オレンジピールやアプリコット、ライムのような香りを帯びます。

その他の情報

ノジオーラは、長年さまざまな別名で知られてきました。

グロッペッロ・ビアンコ (Groppello bianco)
* シュパーゲルン (Spargelen)

これらの別名からも、ノジオーラが地域に根ざしたブドウ品種であることが伺えます。

ノジオーラは、トレンティーノ地方のテロワールを表現する、個性豊かな白ブドウ品種として、これからも注目を集めることでしょう。

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