ノジトラノオ

ノジトラノオ (野路虎の尾)

ノジトラノオ（学名: Lysimachia barystachys）は、サクラソウ科オカトラノオ属に属する多年草で、主に日本本州の関東以西や九州の北部、さらに朝鮮半島南部にも広がって生息しています。この植物は、湿った草地を好み、特徴的な垂れ下がった花序がトラの尾に似ていることからその名が付きました。

特徴

ノジトラノオは、茎に密生する褐色の毛によって特徴づけられます。多くの草原や湿地の環境で見かけることができ、特にオカトラノオ（Lysimachia clethroides）が乾燥した丘陵地に生息するのに対し、ノジトラノオはやや湿った場所を好みます。これにより見分けがつきやすいといえます。さらに、花序の先端の形状や葉の形によっても、オカトラノオと異なることがわかります。

ノジトラノオの花は白色で、花序の先端は比較的尖っていないのが特徴的です。これに対してオカトラノオの場合、花序の先端は滑らかに細くなります。また、ノジトラノオの葉は全縁であり、狭長楕円形から倒披針形をしていて、先端は短くとがっているのが特徴です。一般的にその高さは約70cmに達し、1mを超えるものも見受けられます。

ノジトラノオによく似た植物に、ヌマトラノオ（Lysimachia fortunei）があり、こちらは真っ直ぐ上に立ち上がり、花序は垂れない点で異なります。また、オカトラノオとヌマトラノオの交雑種としてイヌヌマトラノオ（Lysimachia x pilophora）も存在しています。

保全状況

ノジトラノオは環境省のレッドリストにおいて絶滅危惧II類（VU）に指定されています。さらに、県ごとの評価（県版RDB）では、関東地域の東京、埼玉、千葉、神奈川、群馬、栃木、茨城など、多くの地域で絶滅危惧I類（CR+EN）またはII類（VU）に分類されています。特に長野、愛知、熊本、鹿児島などでもその状況は深刻です。

文化的側面

文化的な側面において、ノジトラノオは茶室に活ける茶花としての利用も見られます。また、茶畑の敷き草の採取地である茶草場に自然に存在することから、伝統的な文化や風習と深く結びついています。

関連項目

• - オカトラノオ
• - サクラソウ科

ノジトラノオはその美しさだけでなく、絶滅の危機にあることからも注目され、多くの生き物にとっても重要な生息環境を提供しています。この植物を保護することは、生態系の維持にとっても極めて重要です。

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