ノゼマ症

ノゼマ症とは

ノゼマ症は、ミツバチにおける感染症で、主にNosema apisという微生物によって引き起こされます。この病気は日本において、家畜伝染病予防法に基づく届出伝染病に指定されており、ミツバチがその対象となっています。法令上の名称には、以前の「ノゼマ病」から「ノゼマ症」へと変更された経緯があります。

感染のメカニズム

ノゼマ症の感染は、ノゼマ・アピスの胞子、いわゆる芽胞に汚染された貯蜜を介して広がります。感染したミツバチは、体内の原虫を糞と共に排泄するため、巣箱内も汚染され、さらに感染が広がるのです。このことから、ノゼマ症は特に春と秋に多く発生する傾向があります。

症状

ノゼマ症にかかったミツバチはさまざまな症状を示します。代表的な症状には、腹部の膨満、飛翔ができない状態、さらには寿命の短縮があります。また、感染群の中での卵の孵化率が低下することによって、全体の巣群が弱体化することもあります。このように、ノゼマ症はミツバチの個体数や健康状態に深刻な影響を与えるため、速やかな対応が求められます。

診断方法

ノゼマ症の診断は、体内での原虫の存在を確認することによって行われます。厳密な検査が必要で、専門機関での判断が求められることもあります。

予防策

現在のところ、ノゼマ症に対する有効な薬剤は認可されていませんが、エチレンオキシドや酢酸を用いた巣箱の燻蒸消毒が予防策として実施されています。これにより、感染源となる汚染物質を取り除くことが可能です。感染を防ぐためには、ハチの健康管理や巣箱の衛生状態を良好に保つことが必要です。

ノゼマ症は、ミツバチ業界において注意が必要な感染症の一つです。正しい知識と予防策を持つことで、ミツバチの損失を最小限に抑えることができるでしょう。無知や管理の不備から感染が広がると、大きな損失につながる可能性があるため、飼育者は常に情報を更新し、適切な対応を心掛けることが大切です。

参考文献

• - 小沼操ほか編『動物の感染症 第二版』近代出版 2006年 ISBN 4874021239

関連項目

• - 蜂群崩壊症候群

外部リンク

• - ノゼマ病家畜疾病総合情報システム - 監視伝染病診断指針

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