ノーカーボン紙

ノーカーボン紙とは

ノーカーボン紙（ノーカーボンし）は、筆圧やプリンターによる打撃によって発色する特殊な複写用紙です。感圧紙とも呼ばれ、主に伝票や帳票の作成に利用されています。従来のカーボン紙に代わり、現在では広く普及しています。英語では「Carbonless Copy Paper（CCP）」と表記されます。

ノーカーボン紙の用途

ノーカーボン紙は、主に以下のような用途で利用されています。

伝票、帳票
ドットインパクトプリンターによる複写印字

以前は、筆圧による複写にはカーボン紙が使用されていましたが、ノーカーボン紙の登場により、より手軽で清潔な複写が可能になりました。カーボン紙は、紙を重ねてその間に挟んで使用する必要がありましたが、ノーカーボン紙は用紙自体が発色するため、この手間が省けます。

ノーカーボン紙の種類と使い方

ノーカーボン紙には、主に「上用紙」「中用紙」「下用紙」の3種類があります。これらの紙を適切に組み合わせることで、複写が可能になります。

上用紙：一番上に使用する紙で、裏面にカプラー溶液が塗布されています。
中用紙：上用紙と下用紙の間に使用する紙で、両面にカプラー溶液と発色剤が塗布されています。
下用紙：一番下に使用する紙で、表面に発色剤が塗布されています。

複写枚数と用紙の組み合わせ例

4枚複写：上用紙 - 中用紙 - 中用紙 - 下用紙
2枚複写：上用紙 - 下用紙
複数枚複写：中用紙を必要枚数重ねる

また、発色する色も青、黒、赤などがあり、複写枚数に応じて発色色を組み合わせることも可能です。

減感と増感

減感とは、ノーカーボン紙の一部分だけ複写させないようにする技術です。特定の箇所に特殊な溶液を塗布することで、その部分だけ発色を抑制できます。例えば、受領書の「受領印欄」など、複写させたくない箇所に利用されます。増感とは、逆に複写効果を高める技術で、複写効果が弱い場合や、ノーカーボン紙以外の紙に複写させたい場合に利用されます。

ノーカーボン紙の複写原理

ノーカーボン紙は、用紙に塗布されたカプセル状の無色インク（カプラー）が、筆圧によって破れることで発色する仕組みです。カプセルから染み出した無色インクが、下の紙の発色剤と化学反応を起こし、文字や図が複写されます。この原理から、ノーカーボン紙は「感圧紙」とも呼ばれています。

このカプセル溶液の発見は、とある企業でのインク実験の失敗から偶然生まれたもので、この発見が、現在のノーカーボン紙の普及に繋がっています。

ノーカーボン紙の弱点

ノーカーボン紙には、以下のような弱点があります。

水に弱い：水に濡れると、反応液が薄まり、複写された文字が消える可能性があります。
圧力に弱い：強い圧力を加えると、意図しない発色を起こしてしまうことがあります。
長期保存に向かない：複写された文字が時間とともに薄くなり、最終的には読み取れなくなる可能性があります。
古紙リサイクルが困難：薬品がリサイクル工程で悪影響を及ぼすため、一般の古紙と混ぜてリサイクルできません。

これらの弱点から、企業では、ノーカーボン紙とカーボン紙を使い分けています。例えば、長期保存が必要な書類にはカーボン紙が、一時的な記録にはノーカーボン紙が使用されることが多いです。

環境への配慮

初期のノーカーボン紙にはPCBが含まれており、環境汚染の原因となっていましたが、1970年代以降の製品では、PCBは別の化学物質に変更されており、安全に利用できるようになっています。

まとめ

ノーカーボン紙は、その利便性から、現代のオフィスやビジネスシーンで欠かせない存在です。しかし、弱点も理解した上で、用途に応じて適切に使い分けることが大切です。技術の進歩により、環境負荷の少ないノーカーボン紙の開発も進められており、今後も更なる進化が期待されます。

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