ノーザンリバー

ノーザンリバー：重賞5勝を挙げた競走馬から種牡馬へ

2008年4月12日、北海道安平町のノーザンファームで誕生した競走馬ノーザンリバー（Northern River）。林正道氏によって5600万円で落札されたこの馬は、オーナーにとって最初の愛馬となりました。馬名は生産牧場の歴史と、大海原への希望を込めたもの。その名の通り、ノーザンリバーは競走馬として華々しい活躍を見せ、種牡馬としても成功を収める波乱に満ちた生涯を送ることになります。

輝かしい競走馬時代：重賞勝利とクラシックへの挑戦

2010年9月、札幌競馬場でのデビュー戦では惜しくも2着。その後、地道に勝利を重ね、2011年のアーリントンカップで3連勝で重賞初制覇を飾ります。武豊騎手とのコンビで掴んだこの勝利は、武豊騎手にとって25年連続のJRA重賞制覇、そして林氏にとっても初めての重賞制覇という喜びをもたらしました。

続く牡馬クラシック路線への挑戦は、皐月賞15着、東京優駿17着と結果を残せませんでしたが、その後の屈腱炎発症による長期休養を乗り越え、2013年に復帰。1600万下条件特別のなにわステークス6着を経て、春風ステークス2着、そして深草ステークスで2年3カ月ぶりの勝利を挙げます。

オープン再昇級後も安定した走りを見せ、京都オータムリーフプレミアム、カペラステークスと連勝。2014年には交流重賞に参戦し、東京スプリントでは2着馬に3馬身差をつける圧勝劇を演じます。さきたま杯、東京盃と重賞を連勝し、重賞5勝目を挙げました。JBCスプリントでは1番人気に支持されましたが5着に敗れ、カペラステークスでは12着と結果を残せませんでした。

2015年にはさきたま杯を連覇するも、JBCスプリント8着を最後に競走生活に幕を閉じました。オーナーの林氏にとって最初の重賞馬ということもあり、種牡馬入りが決定。引退後は優駿スタリオンステーションで種牡馬としてのキャリアをスタートさせました。

林氏はノーザンリバーについて、「私が馬主資格を取得後、初めて購入した馬で、初重賞やダービー出走など、夢のような経験をさせてくれた思い入れのある馬」と語っています。距離適性や脚元の不安を抱えながらも、持ち前のスピードで多くのファンを魅了したノーザンリバー。芝路線でも活躍できる素質を持っていたと評されています。

種牡馬時代：新たな才能の発掘

2016年、種牡馬としての第一歩を踏み出したノーザンリバー。初年度は安価な種付け料が功を奏し、31頭の繁殖牝馬が集まりました。翌年は種付け料が大幅に増加したものの、種付け頭数は減少。その後も種付け頭数は低迷しましたが、2019年に初年度産駒がデビュー。地方重賞ゴールドウィング賞を制したインザフューチャー、中央競馬で初勝利を挙げたボンボンショコラなど、複数の産駒が活躍を見せました。出走した15頭中8頭が勝ち上がり、重賞1勝を含む11勝を挙げ、種牡馬としても一定の成功を収めたと言えるでしょう。

ノーザンリバーの血統と活躍馬

ノーザンリバーの半兄には、ランフォルセ（浦和記念など）、近親にはロジユニヴァース（東京優駿）、ジューヌエコール（デイリー杯2歳ステークスなど）、ディアドラ（秋華賞など）といった名馬が名を連ねています。祖母Sonic Ladyは、愛1000ギニー、サセックスステークス、ムーランドロンシャン賞を制した名牝です。

まとめ

競走馬として重賞5勝を挙げ、種牡馬としても優秀な産駒を輩出したノーザンリバー。その輝かしい経歴は、多くの競馬ファンに感動と希望を与え続けました。脚元の不安や距離適性などの課題を乗り越え、持ち前のスピードと粘り強さで数々のレースを制したその姿は、これからも語り継がれることでしょう。そして、彼の遺伝子は、新たな才能を秘めた競走馬たちへと受け継がれていくのです。

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