ノースウエスト・アングル

ノースウエスト・アングルの概要

ノースウエスト・アングル（Northwest Angle）は、アメリカ合衆国ミネソタ州レイク・オブ・ウッズ郡の北部に位置しています。この地域は、同郡のアングル区に属し、カナダのマニトバ州と接しています。ノースウエスト・アングルは、ウッズ湖に挟まれた飛び地であり、カナダを通過せずに陸路でアクセスすることができません。地元住民はこの地域を「the Angle」と呼ぶことがあります。地名の由来は、ウッズ湖の最北西端の位置関係にあります。

ノースウエスト・アングルは、アメリカ本土で北緯49度線以北に位置する唯一の土地で、アラスカ州と並ぶ特異な存在です。この49度線はアメリカ本土の北限を形成しており、西海岸からワシントン州、アイダホ州、モンタナ州、ノースダコタ州、ミネソタ州を経て、ノースウエスト・アングルに至ります。興味深いことに、この地域以東の国境は49度線より南を通るため、ノースウエスト・アングルが本土の最北端となっています。2000年の国勢調査によると、この地域の人口は152人です。

歴史的背景

米英間の国境は、アメリカ独立戦争後に締結されたパリ条約によって定められました。この条約では、北側の境界について「ウッズ湖の最北西端からミシシッピ川へ真西に伸びる」とされましたが、実際にはこの条件を満たさない国境が引かれてしまいました。特に、当時の探検家はウッズ湖の最北西端とミシシッピ川の正確な位置関係を知らなかったためです。結果として、誤った国境線が設定され、一部地域がアメリカの飛び地として残ることになりました。

1818年のアングロ＝アメリカン会議で国境が修正され、最終的には49度線までの南北の境界が定められます。この調査により、ウッズ湖の最北西端に至る新たな国境線が確立され、ノースウエスト・アングルとして知られることになりました。

地理と環境

ノースウエスト・アングルは約1544.5平方キロメートルの面積をカバーし、そのうち318.81平方キロメートルが陸地です。残りの面積は湖で構成されており、ウッズ湖が重要な役割を果たしています。また、この地域の人口は2000年の調査時点で152人で、118人が本土に、34人がウッズ湖の島に住んでいます。なお、49度線以南に位置する島は無人島となっています。

この地域は、ミネソタ州で最後となる複式学級の学校があることで知られています。

交通手段

ノースウエスト・アングルへのアクセスは主に二つの方法があります。一つは、湖を利用して直接アクセスする方法で、飛行機や雪が解けた湖面を船で渡ることが可能です。もう一つは、陸路でのアクセスで、ミネソタ州道72号線から国境を越え、数つの州道を経て再びアメリカに入る方法です。これには少し複雑な手続きが伴い、国境検問所ではテレビ電話を通じて出入国申請を行う必要があります。

政治と文化

1997年以降、住民の間でカナダへの帰属先変更を求める声が上がるようになりました。これは、アメリカ国内での漁業権に多くの制限があるためです。ノースウエスト・アングルは大部分がレッド・レイク先住民居留地の領域にあるため、住民投票を求める動きが一部の政治家から発信されますが、その際には居留地の代表者との合意が欠如していることから反発もあります。

また、ティム・オブライエンの小説『失踪』（In the Lake of the Woods）は、この地域を舞台にした作品として知られており、その影響でノースウエスト・アングルが広く知られるようになりました。

もう一度検索