ノース・イースト・リンカンシャー

イングランド東部、歴史的なカウンティであるリンカンシャー州内に位置するノース・イースト・リンカンシャーは、地方行政を担う単一自治体（Unitary Authority）です。北側では同じく単一自治体であるノース・リンカンシャーと、南側ではリンカンシャーの非都市カウンティと隣接しており、これらの地域全体で典礼カウンティとしてのリンカンシャーを構成しています。2011年の国勢調査によれば、この自治体の人口は159,616人でした。地理的には、イングランドの地域区分であるヨークシャー・アンド・ザ・ハンバーに属しています。

歴史

ノース・イースト・リンカンシャーは比較的新しい自治体であり、1996年 4月1日に設立されました。その設立は、当時の広域カウンティであったハンバーサイド州の解体に伴うものです。自治体は、ハンバーサイドを構成していた旧バラ（Borough）であるクリーソープとグレート・グリムズビーの区域を基盤として誕生しました。ハンバーサイド州が設置される以前の1974年より前、この地域はリンカンシャー州の歴史的な区分の一つであるパーツ・オブ・リンゼイの一部とされていました。

政治と行政

自治体の政治運営と行政執行は、住民によって選出されるノース・イースト・リンカンシャー・カウンシルが担っています。カウンシル議会の選挙は、2010年以降、毎年5月に実施されています。議席数は合計42議席です。1995年に単一自治体として初の選挙が行われて以来、議会の多数派は主に労働党が占めるか、あるいはどの政党も単独で過半数を確保できない、いわゆる「ハン・カウンシル（hung council）」の状態が続いてきました。

近年の政治状況を見ると、2003年から2011年までの間は、保守党と自由民主党の連立政権が行政を主導しました。2011年には労働党が少数与党として政権を運営しましたが、翌2012年からは2年間、同党が単独で多数派与党の地位を確立しました。しかし、その後は再び少数与党の状態に戻ります。転換点となったのは2019年の選挙で、この時、カウンシルが設立された1996年以降初めて、保守党が単独で過半数の議席を獲得し、政権与党となりました。

行政の執行においては、カウンシルはキャビネット・スタイルを採用しています。これは、カウンシルの与党会派に属する議員が「キャビネット・メンバー」として任命され、それぞれの専門分野や担当領域（ポートフォリオ）に対して責任を持つ方式です。自治体の行政運営については、透明性と適正性を確保するため、年に2回、独立した監査委員会による監査を受けることが義務付けられています。

主要な内包地区

ノース・イースト・リンカンシャー自治体内には、いくつかの主要な都市や地域が含まれています。代表的な地区としては、港湾都市であるグリムズビー、人気の海岸リゾート地であるクリーソープス、そして重要な港湾機能を持つイミンガムが挙げられます。その他にも、レースビー、スタリンバラ、ウォールド・ニュートンなどの地域がこの自治体の一部を構成しています。

経済

自治体の経済活動の中心となっているのは、グリムズビー、イミンガム、クリーソープスの3つの主要な町であり、これらの地域はまとめてグリムズビー都市圏を形成しています。伝統的な産業である漁業は依然として重要ですが、現在は飲食料品の加工業が最も大きな雇用を生み出しています。また、イミンガム港を中心とした活発な港湾活動や、それに付随する運送業・物流業も経済の柱です。近年は、再生可能エネルギー分野、特に洋上風力発電に関連する産業が大きく成長しています。さらに、化学工業も地域経済の重要な一角を占めています。自治体内には電力供給を担う発電所も一つ存在します。

観光

観光面では、ノース・イースト・リンカンシャー自治体の特徴の一つとして、地球の標準時を定めるグリニッジ子午線が域内を通過している点が挙げられます。これは、地理的な関心を持つ人々にとって興味深いポイントとなっています。

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