ノーナレ

『ノーナレ』は、NHK総合およびNHK BS4Kで不定期に放送されている異色のドキュメンタリー番組です。その最大の特徴は、番組タイトルが示す通り、ナレーションが一切挿入されない点にあります。

従来のドキュメンタリー番組では、ナレーターによる解説や状況説明が不可欠でしたが、『ノーナレ』では、映像そのものが持つ力で視聴者に語りかけます。「説明よりも感じるものを」という制作陣の意図が、この斬新なスタイルに込められています。

ただし、完全に説明が排除されているわけではありません。必要に応じて、状況説明のためのテロップが表示されます。これにより、視聴者は映像から得られる情報とテロップによる補足情報を組み合わせながら、番組の内容を理解していくことになります。

番組の構成は、原則として30分番組ですが、初期の頃は25分構成で放送されていました。また、スペシャル版として、通常とは異なる形式で放送されることもあります。初回放送は2016年12月21日で、2023年5月3日に最新作が放送されましたが、その後は新作の放送は途絶えています。

『ノーナレ』は、固定観念にとらわれない新しいドキュメンタリーの可能性を追求した番組と言えるでしょう。ナレーションという「お約束」を排することで、視聴者はより自由に、そして深く、映像の世界に入り込むことができます。映像が持つ力、そして視聴者の感性を信じるからこそ生まれた『ノーナレ』は、これまでのドキュメンタリー番組とは一線を画す、独自の魅力を放っています。

過去には、同じNHKのドキュメンタリー番組である『ドキュメント72時間』の制作チームが、「新型コロナと音の風景」というテーマで『ノーナレ』の制作に携わったこともあります。これは、『ノーナレ』がNHKのドキュメンタリー制作において、実験的な試みとして位置づけられていることの証左と言えるでしょう。

『ノーナレ』は、映像表現の新たな可能性を切り開いた革新的なドキュメンタリー番組として、その動向が注目されます。

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