ドキュメント72時間

ドキュメント72時間とは

『ドキュメント72時間』は、NHK総合で放送されているドキュメンタリー番組です。2013年 4月5日にレギュラー放送が開始され、2024年現在も続いています。この番組の最大の特徴は、毎回異なる場所を72時間（3日間）にわたり定点観測し、そこで繰り広げられる人々のドラマを記録することです。

番組の制作にあたっては、以下のような独自のルールが設けられています。

72時間で撮影を終了
時系列を崩さずに編集
偶然の出会いを大切にする

これらのルールを守りつつ、取材ディレクターたちが2クルー体制で交代しながら撮影を行います。72時間という取材期間は、現場の雰囲気を十分に捉えつつ、取材クルーの集中力を維持するために最適な時間として設定されました。

番組の誕生

番組プロデューサーの植松秀樹氏によると、番組の原点は『クローズアップ現代』の取材で救急病院に密着した経験でした。救急外来の受付でさまざまな事情を抱えた人々を取材する一方で、待合室での患者同士の何気ない会話や医療スタッフの表情に、これまでの報道番組とは異なる視点を感じたそうです。この経験から、「一つの場所にこだわり、徹底的に密着することで、現代社会のリアルを描けるのではないか」という発想が生まれました。

2005年 12月28日にはパイロット版として『72時間＠渋谷ハチ公前広場コインロッカー』が放送され、その後、番組名を『ドキュメント72時間』に変更し、2006年 10月3日から2007年3月13日まで第1期が放送されました。

番組の変遷

2012年7月には、ロンドンオリンピック中継の影響で、火曜23時台に4回限定で短期集中放送されました。2013年 4月5日からは、金曜22時55分からのレギュラー放送が開始されました。

2019年4月12日放送分からは、放送尺が29分に拡大。さらに2021年1月22日からは30分に拡大されました。再放送時には、本放送後の追加取材を放送することもあります。2021年4月からはNHK BS1でも放送が開始されました（2023年11月まで）。

2022年 9月21日からは、番組の魅力を語り合うポッドキャスト番組『聴くドキュメント72時間』がSpotifyで配信されています。

放送時間

現在、NHK総合では以下の時間帯で放送されています。

本放送：金曜日 22:00 - 22:30
* 再放送：日曜日 18:05 - 18:35

過去には、火曜、月曜、水曜、木曜、土曜など、様々な時間帯で放送されていました。また、特別番組やスポーツ中継などにより、放送が休止・変更となる場合もあります。

海外展開

『ドキュメント72時間』は英訳版が制作され、NHKワールドTVでも放送されています。海外の提携放送機関やケーブルテレビ、NHKワールドの公式サイト・アプリ、衛星ラジオ放送などで視聴可能です。

テーマソング

番組のテーマソングは、松崎ナオさんの「川べりの家」と「そうして回る」です。「川べりの家」は2012年まではシングル音源が使用されていましたが、2013年からは新録バージョンが使用されています。公式ミュージックビデオは番組ディレクターの石谷岳寛氏が手掛け、番組同様の定点撮影が用いられています。「そうして回る」は番組のために書き下ろされた楽曲です。

ナレーター

番組開始当初から、俳優がナレーションを担当しています。石田ひかりさん、吹石一恵さん、鈴木杏さんなどが持ち回りで担当し、近年はさらに多くの俳優が参加しています。また、取材対象に応じて、向井秀徳さんやMISIAさんがナレーションを担当することもあります。

多様な放送内容

放送内容は、日本各地の様々な場所が舞台となります。空港、駅、商店街、公園、病院、工場など、日常のあらゆる場所で人々の営みが描かれています。また、海外の場所を舞台にした回や、他の番組とのコラボレーション企画なども放送されています。

年末スペシャル

毎年年末には、視聴者からのリクエスト投票で選ばれた人気作品を再放送する『ドキュメント72時間年末スペシャル』が放送されます。この番組では、山田五郎さん、鈴木おさむさん、吹石一恵さんなどが、取材先の後日談などを交えた座談会を行っています。

パロディと派生番組

『ドキュメント72時間』は、多くのテレビ番組でパロディやオマージュが行われています。『とんねるずのみなさんのおかげでした』の「石橋貴明ドキュメント72分」や、『チコちゃんに叱られる!』の解説VTRに登場した「チコメント72時間」などがあります。また、『ドキュメント720時間』や『道南ドキュメント7.2時間』など、派生番組も制作されています。

まとめ

『ドキュメント72時間』は、72時間という限られた時間の中で、人々の日常や人間模様を丁寧に描くドキュメンタリー番組です。その独特なスタイルと、様々な場所で繰り広げられるドラマが、多くの視聴者の心を捉えています。2024年現在も進化を続けるこの番組から、今後も目が離せません。

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