ノーマン・グリーンバウム

ノーマン・グリーンバウム：『スピリット・イン・ザ・スカイ』の光と影

ノーマン・グリーンバウム（Norman Greenbaum、1942年11月20日 - ）は、アメリカ合衆国出身のシンガーソングライターであり、特に1969年に発表した自作曲「スピリット・イン・ザ・スカイ」でその名を知られています。この楽曲は、独特のサウンドと宗教的なテーマで、世界中の音楽ファンを魅了しました。

生い立ちと音楽への目覚め

グリーンバウムは、マサチューセッツ州モールデンで、厳格なユダヤ教の家庭に生まれ育ちました。幼少期にはヘブライ語学校で学び、宗教的な教育を受けました。しかし、1950年代後半から1960年代初頭にかけて流行したブルースやフォーク音楽に触れたことが、彼の音楽への関心を пробудила。高校時代には様々なバンドで演奏し、音楽の才能を開花させました。その後、ボストン大学に進学し、2年間音楽学を学び、音楽の知識を深めました。

『スピリット・イン・ザ・スカイ』の大ヒット

グリーンバウムの代表作である「スピリット・イン・ザ・スカイ」は、1969年にワーナー・ブラザース・レコードからリリースされました。この曲は、「重たい」ギターの音、手拍子、そしてスピリチュアルな歌詞が融合した、他に類を見ない独特のサウンドが特徴です。リリースされるや否や、瞬く間に大ヒットとなり、1969年から1970年にかけて200万枚以上を売り上げ、アメリカレコード協会（RIAA）からゴールドディスクに認定されました。その後も、様々な映画、広告、テレビ番組などで使用され、その人気は衰えることを知りません。

宗教観と楽曲のテーマ

「スピリット・イン・ザ・スカイ」の歌詞はキリスト教的なテーマを含んでいますが、グリーンバウム自身は厳格なユダヤ教徒であり続けています。彼はインタビューで、この曲の着想は西部劇映画から得たと語っています。悪漢が銃で撃たれ、ブーツを履いたまま死ぬことを願うシーンを見て、彼は「ブーツを履いたまま死にたいと願うことがスピリチュアルだ」と感じたそうです。そして、キリスト教的な要素は、単に曲を構成するための手段として使用したに過ぎないと説明しています。

一発屋からの脱却

グリーンバウムは一般的に一発屋と見なされていますが、1966年にはドクター・ウェスツ・メディシン・ショウ・アンド・ジャンク・バンド名義で録音した「The Eggplant That Ate Chicago」などの楽曲がチャート入りを果たしています。また、1960年代には、ブルーノ・ウルフ・ウィズ・ザ・ジム・クウェスキン・ジャグ・バンドという名義でも活動していました。

事故と復帰

グリーンバウムは、長年カリフォルニア州サンタローザに住んでいます。2015年3月28日、彼が乗車していた自動車が交通事故に遭い、重傷を負いました。この事故で、バイクの運転手が死亡、同乗者が重傷を負うという悲劇に見舞われましたが、グリーンバウムはその後、演奏活動に復帰しています。

ディスコグラフィ

ソロ・アルバム

『スピリット・イン・ザ・スカイ』 - Spirit in the Sky (1969年)
Back Home Again (1970年)
『ペタルマ』 - Petaluma (1972年)
Spirit in the Sky: The Best of Norman Greenbaum (1995年) ※コンピレーション
『スピリット・イン・ザ・スカイ ベスト・オブ・ノーマン・グリーンバウム』 - Spirit in the Sky: The Best of Norman Greenbaum (1997年) ※コンピレーション
Spirit in the Sky: The Definitive Anthology (2003年) ※コンピレーション

ドクター・ウェスツ・メディシン・ショウ・アンド・ジャンク・バンド

The Eggplant That Ate Chicago (1967年)
Norman Greenbaum with Dr. West's Medicine Show and Junk Band (1969年) ※コンピレーション
* Euphoria: The Best of Dr. West's Medicine Show and Junk Band (1998年) ※コンピレーション

ノーマン・グリーンバウムの音楽は、時代を超えて人々の心に響き続けています。「スピリット・イン・ザ・スカイ」は、彼の音楽的才能と精神性を象徴する、不朽の名作と言えるでしょう。

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