ノーマ・タルマッジ

ノーマ・マリー・タルマッジ: サイレント映画の女神

ノーマ・マリー・タルマッジ（Norma Marie Talmadge、1894年5月2日 - 1957年12月24日）は、アメリカの映画界においてサイレント映画の時代を象徴する女優であり、映画プロデューサーでもありました。彼女は1920年代の初頭にキャリアの全盛期を迎え、アメリカ映画界の人気アイドルの一人として広く認知されました。当時、彼女はメロドラマを得意とし、最も有名な作品『久遠の微笑』（1922年）は特に評価が高く、サイレント映画の中で最高のロマンス映画とされました。

幼少期と家族

ノーマはニュージャージー州ジャージーシティに生まれ、妹にはナタリーとコンスタンスの2人がいます。タルマッジ家は経済的に厳しい環境で育ちました。父親はアルコール依存症であり、幼少期に家を去ってしまったため、母親のマーガレットは家計を支えるためにニューヨーク市ブルックリンで洗濯や絵の教室を開き、3人の娘を育てました。彼女の女優としての道は、友人が映画館で利用されるスライドモデルに挑戦していることを知った母の勧めから始まりました。

キャリアの始まり

タルマッジは母の後押しを受けて、ブルックリンのヴァイタグラフ・スタジオに訪れましたが、最初は追い返されます。しかし、女性シナリオライターのベータ・ブルイユに才能を見出され、初出演を果たしました。その後、彼女は1911年から1912年の間に100以上の映画に端役で登場し、安定した収入を得ることができました。1915年に出演した長編映画『The Battle Cry of Peace』での成功を受け、さらなるチャンスを求めてナショナル・ピクチャーズ社と契約します。

映画の成功とハリウッド進出

彼女はその後、カリフォルニアへ移り、トライアングル・フィルム・コーポレーションと契約しました。この期間中、タルマッジは多くのヒット作に出演し、その名声を高めました。最も有名な作品の一つ、『久遠の微笑』の成功を受けて、1922年にハリウッドへの進出を果たします。彼女の魅力と実力により、1923年には映画界のトップスターに選ばれ、毎週3,000通ものファンレターを受け取るほどの人気を得ました。

私生活と事業

ノーマは、映画プロデューサーのジョセフ・M・シェンクと結婚後、彼と共に映画制作会社を設立しました。このことにより、彼女は自らのキャリアを管理し、最大限に生かすことができました。彼女の制作した映画は多くの女性から憧れをもって迎えられ、商業的にも成功を収めました。しかし、タルマッジは私生活でも波乱万丈でした。シェンクとの関係の中で、やがて離婚も経験しました。

妊娠と引退

1926年以降、彼女の人気は徐々に衰退し、トーキーへの移行が進む中、タルマッジは適応することができませんでした。1930年には映画界を引退し、その後はセレブリティの生活から離れることを望みました。私生活も不安定であり、仕事のストレスから解放されることを求めましたが、病気に苦しむ時期を過ごしました。

晩年と死去

最晩年にはラスベガスに移住し、病を抱えながらも穏やかな生活を送っていましたが、1957年に肺炎により他界しました。彼女の遺体は妹たちとともにハリウッド・フォーエバー墓地に埋葬され、その功績は今もなお映画ファンの記憶に刻まれています。タルマッジの星もハリウッド・ウォーク・オブ・フェームに設置され、アメリカ映画界への貢献を讃えられています。

もう一度検索