ノー・ダイス

アルバム『ノー・ダイス』の概要

『ノー・ダイス』（No Dice）は、1970年に発表されたバッドフィンガーのスタジオ・アルバムで、彼らにとって新しいスタートを切った作品です。バンド名を「アイヴィーズ」から「バッドフィンガー」に変更し、このアルバムは彼らの2作目として位置付けられています。音楽シーンにおける彼らの影響力を感じさせるこの作品は、特にビートルズの影響を色濃く受けています。

新たなメンバーと制作

本作には、新しいギタリストとしてジョーイ・モーランドが加入し、トム・エヴァンズは主にベースを担当することになりました。この変更はバンドの音楽スタイルにも新たな風を吹き込み、より洗練された楽曲が生まれました。アルバムの大部分は、ビートルズとの共同作業で知られるプロデューサーのジェフ・エメリックによって制作されましたが、「嵐の恋」と「ビリーヴ・ミー」については、ビートルズの元ロード・マネージャー、マル・エヴァンズが手掛けました。

ヒットシングル

アルバムからシングルとしてリリースされた「嵐の恋」（No Matter What）は、全英チャートで5位、全米チャートで8位という好成績を収めました。この曲は音楽評論家のRichie Unterbergerからも高く評価され、「パワー・ポップ」というジャンルの先駆けとなったと評されています。また、収録曲「ウィズアウト・ユー」は、後にハリー・ニルソンやマライア・キャリーによってカバーされ、非常に有名なスタンダード・ナンバーとなりました。

リリースと再発

1992年には再発CDが発売され、そこには5曲のボーナス・トラックが追加されました。2010年にはリマスターされたCDが登場し、ボーナス・トラックの内容が変更されました。これにより新たにファンに支持される要素が増え、多くのリスナーに新鮮な体験を提供しました。

収録曲一覧

以下は、アルバム「ノー・ダイス」に収録された曲のリストです：

- アイ・キャント・テイク・イット - I Can't Take It - 2:54
- アイ・ドント・マインド - I Don't Mind (Joey Molland, Tom Evans) - 3:13
- ラヴ・ミー・ドゥ - Love Me Do (J. Molland) - 2:57
- ミッドナイト・コーラー - Midnight Caller - 2:48
- 嵐の恋 - No Matter What - 2:59
- ウィズアウト・ユー - Without You (Pete Ham, T. Evans) - 4:42
- ブラッドウィン - Blodwyn - 3:24
- ベター・デイズ - Better Days (J. Molland, T. Evans) - 3:59
- イット・ハッド・トゥ・ビー - It Had to Be (Mike Gibbins) - 2:57
- ワットフォード・ジョン - Watford John (J. Molland, M. Gibbins, P. Ham, T. Evans) - 3:21
- ビリーヴ・ミー - Believe Me (T. Evans) - 2:58
- ウィアー・フォー・ザ・ダーク - We're for the Dark - 3:51

ボーナス・トラック

1992年再発盤には次のボーナス・トラックが収録されています：

- ゲット・ダウン - Get Down (J. Molland, M. Gibbins, P. Ham, T. Evans) - 3:43
- フレンズ・アー・ハード・トゥ・ファインド - Friends Are Hard to Find (J. Molland) - 2:28
- ミーン・ミーン・ジェミマ - Mean Mean Jemima (J. Molland) - 3:41
- ラヴィング・ユー - Loving You (M. Gibbins) - 2:51
- アイル・ビー・ザ・ワン - I'll Be the One (J. Molland, M. Gibbins, P. Ham, T. Evans) - 2:54

また、2010年再発盤には新たに：

- アイ・キャント・テイク・イット（エクステンデッド・ヴァージョン）
- ウィズアウト・ユー（モノ・スタジオ・デモ・ヴァージョン）
- フォトグラフ - Photograph (J. Molland) - 3:24
- ビリーヴ・ミー（別ヴァージョン）
- 嵐の恋（モノ・スタジオ・デモ・ヴァージョン）

影響とカバー

アルバムの曲は他のアーティストにも多くの影響を与えており、「ミッドナイト・コーラー」や「嵐の恋」はジャンルを超えた様々なアーティストによってカバーされています。特に「嵐の恋」は、ティム・ハーディンやデフ・レパードなど多くのアーティストが取り上げています。

参加メンバー

- ピート・ハム - ギター、ピアノ、ボーカル
- トム・エヴァンズ - ベース、ボーカル
- ジョーイ・モーランド - ギター、ボーカル
- マイク・ギビンズ - ドラムス

このように、『ノー・ダイス』は音楽的遺産を築き上げ、今なお多くのリスナーに親しまれている重要なアルバムです。

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