ハイイロヒレアシシギ

ハイイロヒレアシシギ

ハイイロヒレアシシギ（灰色鰭足鴫、学名：Phalaropus fulicarius）は、鳥綱に属するヒレアシシギ科の一種であり、ヒレアシシギ属の代表的な種です。この鳥は、特にその繁殖行動や独特の羽色に注目されています。

分布

ハイイロヒレアシシギは広い範囲に生息しており、アフリカ大陸や北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、ユーラシア大陸などがその分布域です。また、日本やフィリピン、キューバにも見られます。繁殖期は北極圏の北アメリカやユーラシア大陸で行い、冬季にはより暖かい地域に移動して越冬します。日本では旅鳥として観察されることがあり、多くは沖合を通過する傾向があるため、実際に見る機会は少ないですが、特に東北地方以北では夏季にも確認されることがあります。

形態

この鳥の大きさは全長約22cmで、側頭部の羽毛は白色が特徴です。嘴はやや細くて黄色で、先端は黒色をしています。夏羽では、顔の前面から後頸部にかけて黒く、顔は白色です。体の背面は黒褐色で、腹面には赤い羽毛があります。他に、オスはメスに比べて羽色が淡く、腹面には白い斑点が見られます。冬羽では、背面は灰色で頭部は白、嘴から目を通り側頭部にかけて黒い筋模様が特徴的です。また、足は淡い灰肉色で、第2から第4趾の縁には鰭が発達しています。このため、属名の「fulicarius」は、オオバンとの足の構造が似ていることを由来としています。

生態

ハイイロヒレアシシギは、海洋や河川、湖、池沼などの水辺に生息します。繁殖期以外は主に海洋で生活し、特徴的な鳴き声は「ピーピー」と聞こえます。食性は動物食で、昆虫や節足動物、甲殻類を摂取します。

繁殖期は6月下旬から7月下旬にかけてで、一妻多夫制を採用しており、オスが巣を営巣します。巣はツンドラ地帯の水辺の草原に作られ、オスが枯れ草や地衣類を用いて作るのです。メスは、用意された巣に卵を産み付けた後、すぐに去り、他のオスと新たに番いを作ることが一般的です。一度に産む卵は3-6個（通常4個）で、卵の表面には黄褐色地に黒褐色の斑点が見られます。産卵後の抱卵期間は18-20日で、主にオスが抱卵し育雛を行います。雛は早成性で、孵化後はすぐに巣から離れ、18-20日後には独立します。

まとめ

ハイイロヒレアシシギは、その美しい羽色と興味深い生態が魅力的な鳥です。北極圏での繁殖や厳しい環境での生存を促す特徴を持ちながら、多様な地域で観察される旅鳥として、多くの野鳥ファンに親しまれています。

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