ハイキック・ガール!

ハイキック・ガール！

概要

2009年に公開された日本の武道アクション映画。映画プロデューサーとして知られる西冬彦の初監督作品であり、主演は本作がデビューにして初主演となる武田梨奈が務めた。大きな特徴として、ワイヤーアクション、スタントマン、CG合成といった手法を排し、出演者自身による生身の格闘技の応酬をリアルに描くことを志向している点が挙げられる。そのため、物語を彩る登場人物には、主演の武田梨奈や、主人公の師匠を演じた中達也をはじめ、本職の格闘家や武道経験者が数多く起用されている。

あらすじ

空手家として天賦の才を持ちながらも、厳格な師匠である松村義明にその実力をなかなか認めてもらえない女子高生、土屋圭が主人公。師の型稽古中心の指導に物足りなさを感じていた圭は、自身の強さを誇示するため、「黒帯狩り」と称して大学空手部の猛者たちに戦いを挑み、瞬く間に打ち破ってしまう。そんな折、圭は「壊し屋」と名乗る謎の武闘派組織から接触を受ける。組織の下部メンバーと戦い、勝利すれば報酬が得られるという誘いに乗り、ボーイフレンドの中間亮介とともに廃校へと向かう。そこで待ち受けていた「壊し屋」二軍メンバーを鮮やかに一蹴した圭だったが、突如現れた組織幹部の竜足によって亮介が拉致されてしまう。

竜足は、15年前に組織を壊滅状態に追いやった松村に深い恨みを抱いており、その弟子である圭を利用して松村への復讐を企んでいた。一方、異変を察知した松村道場では、「壊し屋」一軍メンバーによる襲撃が発生し、山本師範代らが重傷を負う。修行中の松村に危機を知らせようとする圭だったが、彼女自身も「壊し屋」に捕らえられてしまう。愛する弟子たちを救い出すため、松村は単身、「壊し屋」のアジトである廃校へと乗り込む。立ちはだかる組織のメンバーを次々と打ち倒し、圭と亮介が囚われている体育館に到達した松村は、人質を取られ、屈辱的な土下座を強要される。やむなく要求に応じた松村だったが、無残にも叩き伏せられてしまう。師と亮介の窮地を見た圭は、「壊し屋」メンバーの一人、赤城健との激闘を制し、反撃の狼煙を上げる。覚醒した松村は、ナイフを手に襲いかかる竜足や、他の組織メンバーを圧倒的な力で制圧していく。追い詰められた組織幹部の拳牙は松村を銃殺しようとするが、圭によって阻止され、組織は壊滅する。戦いを終え、松村は圭に空手を白帯からやり直すよう諭す。師から「強くなったな」と認められた圭は、これまでの不満を晴らすかのように満面の笑みを浮かべるのだった。

登場人物

主要な登場人物とその演者は以下の通り。

土屋圭: 本作の主人公。空手に打ち込む女子高生。卓越した体術を持つが、師に反発心を抱く。演：武田梨奈。
松村義明: 圭の師匠。厳格な指導者であり、過去に「壊し屋」と因縁がある。演：中達也。
中間亮介: 圭のボーイフレンド。圭とともに「壊し屋」に関わることになる。演：高橋龍輝。
壊し屋幹部: 組織の中心人物。拳牙（演：天野暁兒）、竜足（演：須藤雅宏）などが登場し、松村への復讐を計画する。

その他、山本師範代（演：神尾佑）、国誠館大学空手部主将（演：佳本周也）や、「壊し屋」の一軍、二軍メンバーなど、多くの格闘家やアクション経験者が物語に登場する。

製作・音楽

監督の西冬彦は、企画・原作も兼任している。脚本は西と木村好克が担当した。撮影には松井信行、音楽は見里朝生が起用されている。スタントコーディネートは高橋伸稔が手掛けたが、本作のコンセプトとして、ワイヤーやスタントマンに頼らず、出演者自身の技を見せることに重きが置かれている。製作プロダクションはデジタルハリウッド・エンタテインメントが担当し、「ハイキック・ガール！パートナーズ」が製作を行った。

主題歌にはステファニーの「FUTURE」が使用された。

関連作品

本作は、同じく武田梨奈が主演を務めた空手アクション映画『KG カラテガール』（2011年）や、『ハイキック・エンジェルス』（2014年）といった作品群と関連付けて語られることがある。

もう一度検索