ハイフォン港

ハイフォン港の概要

ハイフォン港（Cảng Hải Phòng）は、ベトナム北部の主要な河川港であり、紅河（ソンコイ河）の河口から内陸に位置しています。ベトナム国内では、南部サイゴン港に次ぐ第2位の貨物取扱量を誇る重要な港湾です。主に海上コンテナや在来船が利用し、多様な貨物の輸送を担っています。港の運営は、ハイフォン港株式会社（Hai Phong Port Joint Stock Company）によって行われています。

紅河の本支流沿いには、一般雑貨、石油・LPG、コンテナ貨物などの多様なターミナルが設けられています。これらのターミナルは、河川を20〜40km程度遡った場所に位置しており、アクセス水路の水深によって入港できる船舶の規模が制限されています。しかし、日本のODAによる埠頭開発などの支援により、10,000〜30,000DWT程度の船舶が入港可能となり、ベトナム北部における最大の貿易拠点としての役割を果たしています。

周辺の工業地域と造船業

ハイフォン港の周辺には、ディンブー工業団地が隣接しており、造船業が盛んな地域としても知られています。国営ベトナム造船公社（Vinashin）傘下のベンケン（Bến Kiền）造船所やバクダン（Bạch Đằng）造船所など、ベトナムを代表する造船所が立地しています。これらの造船所は、ベトナムの造船業を支える重要な役割を担っています。

新しい港の開発

ハイフォン港は、喫水の浅い地形条件から、アクセス水路の制約を受けやすいという課題を抱えていました。そのため、水路の制約を受けにくい地域へのターミナル整備が進められています。特に注目されるのは、ハイフォン東部に位置するラックフェン港です。この港は、外洋（トンキン湾）に直接面しており、水深14mという大深度を備えた国際港として2018年5月に開港しました。ラックフェン港は、ハイフォン港の約2倍の水深を持ち、より大型の船舶の入港が可能となることで、ハイフォン港の発展をさらに加速させることが期待されています。

歴史

ハイフォン港は、1876年に開港し、ハノイから約100kmの位置にあります。開港に伴い、ハノイとハイフォンを結ぶロンビエン橋を含む交通網が整備されました。しかし、ハイフォン港は、その歴史の中で、数々の戦争の影響を受けてきました。

第二次世界大戦後のインドシナ戦争では、密輸船の取締りに端を発する銃撃事件の舞台となりました。また、マスタードム作戦では、フランス軍による攻撃・占領を受けました。さらに、ベトナム戦争時には、1万発以上の機雷が航空敷設され、港が封鎖されるという事態にも見舞われました。これらの機雷は、1973年にアメリカ海軍の「ダビューク」によって掃海されました。

このように、ハイフォン港は、その長い歴史の中で、様々な困難を乗り越えて発展してきました。現在では、ベトナム北部の経済を支える重要な港湾として、その役割を果たし続けています。

まとめ

ハイフォン港は、ベトナム北部における重要な貿易拠点であり、歴史的にも様々な出来事があった港です。紅河沿いに位置し、多様な貨物を取り扱うターミナルが点在しています。水深の制約から、より外洋に近い場所に位置するラックフェン港が新たに開港し、ハイフォン港の発展を支えています。今後も、ベトナムの経済成長を支える重要な役割を担っていくことが期待されます。

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