ハイルブロン郡

ハイルブロン郡（Landkreis Heilbronn）は、ドイツ連邦共和国バーデン＝ヴュルテンベルク州に位置する郡です。シュトゥットガルト行政管区ハイルブロン＝フランケン地域連合に属し、郡庁所在地であるハイルブロン市をリング状に取り囲むように広がっています。ハイルブロン市は郡には属さない独立市です。

地理

ハイルブロン郡の地形は、ネッカー川によって二分されており、南から北西へと緩やかな弧を描いて流れています。郡域の約1/3は、オーデンヴァルトとクライヒガウに囲まれたネッカー盆地が占めており、ハイルブロン市とネッカーズルム市がその中心に位置します。肥沃な土壌は、ローム質の砂と黄土からなり、農業に適しています。郡内には標高139mのグンデルスハイムが最も低い地点として存在し、丘陵地帯が大部分を占めています。西部はクライヒガウの広い高原、東部はレーヴェンシュタイナー山地へと続いています。また、シュトロムベルク山やホイヒェルベルク山周辺、ネッカー川や支流の渓谷地域では、穏やかな気候がワイン造りに適しています。郡内最高地点は南東部のヴュステンロート（標高564m）です。

東部のコッハー川とヤクスト川の間は、谷が深く切れ込み、平地は少ないですが、豊かな農地が広がっています。この他、ボットヴァール川、ブレッタハ川、ライン川、エルゼンツ川、ツァーバー川、ゼッカハ川、ズルム川、ショツァハ川などの河川が流れています。

歴史

ハイルブロン郡の起源は、1803年にヴュルテンベルク王国に編入された旧オーバーアムト・ハイルブロンに遡ります。1926年にはオーバーアムト・ヴァインスベルクの一部が編入され、1934年1月29日にハイルブロン郡（Kreis Heilbronn）が成立しました。1938年10月1日には、ネッカーズルム、ブラッケンハイム、マールバッハ、ベジヒハイムの各オーバーアムトが廃止され、その市町村が編入されて郡域が拡大しました。この時、ハイルブロン市は郡から独立しましたが、郡の行政機関は引き続きハイルブロン市に置かれました。

1939年当時、ハイルブロン郡は85,000ヘクタールの面積を持ち、約3万戸、人口105,000人でした。1973年の郡の再編により、ジンスハイム郡、モスバッハ郡、ブーヒェン郡、シュヴェービッシュ・ハル郡の一部が編入され、1975年までに5村がハイルブロン市に編入されました。再編を経て、現在は46の市町村が属しています。そのうち17が市であり、バート・ラッペナウ、エッピンゲン、ネッカーズルムの3市は大規模郡都市です。

人口推移

1973年の郡再編後の人口は、国勢調査や州統計局の資料に基づき推移しています。

行政

郡の行政は、郡議会と郡長によって運営されています。

郡議会

郡議会は、5年ごとに郡内選挙によって選出され、郡長が議長を務めます。2019年の選挙結果に基づいて議会が構成されています。

郡長

郡議会によって選出される郡長は、任期8年で、郡の代表者、責任者、郡議会および委員会の議長を兼ねます。郡長は郡議会や官僚を指導し、郡庁および職員を統括します。郡議会の準備、招集、決議事項の執行が主な職務です。

歴代郡長は以下の通りです。

1933年 - 1939年: ヴァルター・フックス
1939年 - 1945年: エルンスト・ホイバッハ
1945年: エミル・ボイティンガー
1945年 - 1948年: ヘルマン・ジーラー
1948年 - 1966年: エドゥアルト・ヒルシュ
1966年 - 1989年: オットー・ヴィトマイアー
1989年 - 2005年: クラウス・チェルヌスカ
2005年9月26日 - : デトレフ・ピーペンブルク

紋章

ハイルブロン郡の紋章は、赤地に銀の鷲が描かれています。この紋章は1955年6月20日に制定され、1973年9月3日に再採用されました。この鷲は、かつてこの地域を治めていたラウフェン伯の紋章を象徴しています。

経済と社会資本

交通

道路

郡内には、アウトバーンA6号線（マンハイム - ニュルンベルク）とA81号線（シュトゥットガルト - ヴュルツブルク）が交差するヴァインスベルク・ジャンクションがあります。その他、多くの連邦道、州道、郡道が整備されています。

鉄道

1848年にヴュルテンベルク国営鉄道がシュトゥットガルトからハイルブロンを結ぶ最初の鉄道（北路線）を開設しました。その後、1862年にコッハー鉄道、1866年に北路線がフリードリヒスハル＝ヤクストフェルトまで延長されました。1869年にはヤクスト渓谷沿いにメックミュールまでの鉄道が建設され、バーデン・オーデンヴァルト鉄道のオスターブルケン方面へ接続しました。

バーデン国営鉄道は、フリードリヒスハル＝ヤクストフェルト駅をハイデルベルクへの接続路線の出発駅と位置づけ、1868年から69年にかけてエルゼンツタール鉄道を設けました。1879年にはネッカータール鉄道がエーバーバッハまで延長されました。

1878年から1880年には、ハイルブロン - カールスルーエ間のクライヒガウ鉄道が開設されました。さらに、エッピンゲンからシュタインスフルトへの分岐線も1900年に敷設されました。

ヴュルテンベルク国営鉄道は、狭軌のローカル線を2本建設しました。

ボットヴァール鉄道（マールバッハ・アム・ネッカー発）：1894年にバイルシュタインまで、1899年にイルスフェルトまで、1900年にハイルブロン南駅まで順次開通。
ツァーバーゴイ鉄道（ラウフェン・アム・ネッカー発）：1896年にギューグリンゲン、1901年にレオンブロン（ツァーバーフェルト）まで開通。

1900年から1901年には、メックミュールからデルツバッハまでのヤクストタール鉄道が開通しました。また、コッハー川下流域には、ウンテーレ・コッハータール鉄道が1907年にノイエンシュタットまで、1913年にオールンベルク（エーリンゲン）まで開通しました。

その他、バーデン・ローカル鉄道株式会社の2路線も郡内をかすめていました。

カッツバッハ鉄道（オーデンハイム - ヒルスバッハ）：1900年開通。
ネッカービショフスハイム北 - ヒュッフェンハルト：1902年開通。

これらの鉄道網は最盛期には総延長235kmに達しましたが、多くの支線が廃止され、現在では143kmの旅客運行路線が残っています。

旅客運行が廃止された主な路線は以下の通りです。

ヤクストタール鉄道（メックミュール - ヤクストハウゼン）：1951年廃止、1967年から1979年まで通学列車として再開。
カッツバッハ鉄道（エルゼンツ）：1960年廃止。
ボットヴァールタール鉄道（バイルシュタイン - ハイルブロン南）：1966年廃止。
ツァーバーゴイ鉄道（ラウフェン - レオンブロン）：1986年廃止。市電として再開予定。
ウンテーレ・コッハータール鉄道（バート・フリードリヒスハル - コッハーシュタインフェルト）：1993年廃止。
クレプスバッハタール鉄道（オーバーギンペルン - ジーゲルスバッハ）：2009年廃止。

アルプタール交通会社のトラムトレインS4路線は、クライヒガウ鉄道路線およびホーエンローエ鉄道の一部を利用し、アヒェルンからカールスルーエ、エッピンゲン、ハイルブロンを経由してエーリンゲンまで運行しています。

市町村

ハイルブロン郡には以下の市町村があります（かっこ内は2023年12月31日現在の人口）。

（市町村リストは省略）

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