ハインツ・ワルベルク

ハインツ・ワルベルク（Heinz Wallberg, 1923年3月16日 - 2004年9月29日）は、ドイツを代表する指揮者の一人です。その音楽活動は、オペラと管弦楽の両分野にわたり、ドイツ国内の主要な歌劇場で重要な役割を果たしました。しばしば「ヴァルベルク」とも表記されます。

生涯とキャリア

1923年、ドイツのノルトライン＝ヴェストファーレン州のハムで生まれたワルベルクは、ドルトムントとケルンの音楽大学で研鑽を積みました。1946年から指揮者としてのキャリアをスタートさせ、ドイツ各地の歌劇場でその才能を発揮。アウクスブルク歌劇場、ブレーメン劇場、ヴィースバーデン・ヘッセン州立劇場など、数々の劇場で音楽監督や総監督を歴任しました。最終的にはエッセン歌劇場の総監督を務めながら、ウィーン国立歌劇場にも頻繁に客演し、国際的な活躍を繰り広げました。

日本との関係

ワルベルクと日本との関係は深く、1966年からはNHK交響楽団（N響）を度々指揮し、2004年に亡くなるまでその親交は続きました。N響との最後の共演となったのは、2004年2月28日にNHKホールで行われた第1510回定期演奏会でした。この演奏会では、ワルベルクの生誕80年を記念し、彼が1966年に初めてN響を指揮した際のプログラムがほぼ忠実に再現されました。このことからも、ワルベルクとN響との強い絆が伺えます。

年譜

1954年 - 1955年：アウクスブルク歌劇場音楽監督
1955年 - 1960年：ブレーメン劇場音楽総監督
1960年 - 1974年：ヴィースバーデン・ヘッセン州立劇場音楽総監督
1964年 - 1975年：ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団首席指揮者
1975年 - 1982年：ミュンヘン放送管弦楽団首席指揮者
1975年 - 1991年：エッセン歌劇場総監督

録音

ワルベルクの録音は決して多くはありませんが、その中でも特に有名なのは、豪華な歌手陣（ヘルマン・プライ、エッダ・モーザー、ジークフリート・イェルザレム、ヘレン・ドーナト）を起用した『メリー・ウィドウ』のCDです。また、ウィーン交響楽団を指揮したガラコンサート「ウィーンの春」シリーズのDVDも人気があります。さらに、オペレッタ映画の分野では、レハールの『ジプシーの恋』（ミュンヘン放送管弦楽団、ジャネット・ペリー主演）や、ミレッカーの『ガスパローネ』（ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、アーリン・ソーンダース主演）などの指揮も務め、その音楽的な才能を多岐にわたって示しました。

評価

NHK交響楽団で首席オーボエ奏者を務めた茂木大輔氏は、ワルベルクを「陽気で、よく歌い、心温まるドイツのマエストロ、劇場型指揮者」と評しており、その人柄と音楽性を高く評価しています。彼の音楽は聴衆を魅了し、多くの人々に愛されました。

まとめ

ハインツ・ワルベルクは、その長いキャリアを通じて、オペラと管弦楽の分野で卓越した才能を発揮した指揮者でした。ドイツ国内の主要な歌劇場での活躍に加え、ウィーン国立歌劇場への客演、そしてNHK交響楽団との親密な関係は、彼の国際的な活躍を示すものです。彼の音楽は、今もなお多くの人々に聴き継がれています。

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