ハインリッヒ・エドムント・ナウマン

ハインリヒ・エドムント・ナウマンの生涯と業績

ハインリヒ・エドムント・ナウマン（Heinrich Edmund Naumann）は、1854年9月11日に現在のドイツ、ザクセン王国のマイセンで生まれました。彼は地質学者として日本において顕著な影響を及ぼし、近代地質学の発展に大きな貢献を果たしました。

ナウマンは、1875年から1885年までの間、明治政府に招かれ、東京開成学校で金石学、地質学、採鉱学の教鞭を執りました。日本で初めての本格的な地質図を作成した他、東京帝国大学（現・東京大学）の初代地質学教授に就任し、地質調査所の設立にも関与しました。

彼の業務は日本列島全体に及び、調査にかけた距離は約10,000kmに達しました。当時の地形図には等高線が描かれていなかったため、伊能図を基に地質調査を行いながら、新たに地形図の作成にも取り組むという並外れた努力をしました。ナウマンは特に化石研究でも知られ、特に日本で初めて象の化石を研究しました。彼はまた、貝塚を数カ所発見し、有名な貝塚研究者ハインリヒ・フォン・シーボルトの活動を支援しました。

1882年には、下僚とのトラブルから公然と乱闘事件を起こし、罰金刑を受けるという一幕もありました。1884年12月に彼の雇用契約は終了しましたが、半年延長され、1885年には天皇に謁見して勲4等を叙勲されました。その後、7月に日本を離れ、故郷での新たな生活を始めました。

ドイツに帰国後、ナウマンは1886年にミュンスター大学で私講師として地質学や地理学を教えました。また、彼は日本の貝塚についての講演を行うなど、地質学の普及にも努めました。さらに、ベルリンでの地質学会議で論文『日本列島の構造と起源について（Über den Bau und die Entstehung japanischen Inseln）』を発表し、著書としても出版してフォッサ・マグナ説を提案しました。

1886年にドレスデンで開かれた東亜博物学・民俗学協会の講演では、日本人を嘲笑するような発言をし、文豪・森鷗外と論争を繰り広げる事態になりました。このエピソードは、彼の学問的な影響力だけでなく、当時の日本に対する見解を示すものとして注目されます。

また、1923年の関東大震災の際には、東京大学図書館が焼失した際に、自身の蔵書を寄贈し、学問への貢献を継続しました。ナウマンの業績は、今もなお日本の地質学の礎として評価されています。

彼が残した名前には、ナウマンゾウという名があり、これは彼の研究によって発見された巨大な化石に由来しています。ナウマンは、日本における地質学の発展に不可欠な人物であり、その影響は現在も続いています。

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