ハインリヒ・ツー・メクレンブルク

ハインリヒ・ツー・メクレンブルク

ハインリヒ・ツー・メクレンブルクは、1876年4月19日に生まれ、1934年7月3日に亡くなった、メクレンブルク＝シュヴェリーン大公国の公子であり、後にオランダの王配となった人物です。オランダではヘンドリック・ファン・メクレンブルフ王子として知られています。

出自と思春期

メクレンブルク公ハインリヒは、メクレンブルク＝シュヴェリーン大公フリードリヒ・フランツ2世と、その3度目の妃であるシュヴァルツブルク＝ルードルシュタット侯子カール・ギュンターの娘マリーの間の末子（第4子）として、シュヴェリーンで生を受けました。異母兄には、後に大公位を継承するフリードリヒ・フランツ3世がいます。

少年期はドレスデンのギムナジウムで教育を受け、若い頃にはギリシャやイギリス領インド帝国、セイロン島など、広い世界を見て回る旅に出ました。ドイツ帰国後は軍人の道を選び、プロイセン王国陸軍に入隊します。ポツダムに駐屯する近衛猟兵連隊に少尉として配属され、軍人としてのキャリアを積み重ねていきました。

オランダ王配として

ハインリヒの人生における大きな転機は、オランダ女王ウィルヘルミナとの結婚でした。1900年10月16日に二人の婚約が正式に発表され、翌1901年2月7日にハーグで盛大な結婚式が挙げられました。この結婚に先立つ2月6日付で、ハインリヒにはオランダ王子（Prins der Nederlanden）の称号と殿下（Koninklijke Hoogheid）の敬称が与えられています。メクレンブルク家側は彼にオラニエ公の称号を与えるよう働きかけましたが、これは実現しませんでした。

王配となったハインリヒは、オランダの軍における名誉職を歴任しました。1901年には海軍少将および陸軍少将に任じられ、さらに1904年には海軍中将および陸軍中将へと昇進しています。また、枢密院（Raad van State）の顧問官としても活動しましたが、これらの公的な地位を政治的に利用することはなく、儀礼的な役割が中心でした。

家族構成

妻であるウィルヘルミナ女王は何度か妊娠を経験しましたが、無事に出産に至ったのは一人の娘だけでした。それが、1909年に誕生し、後にオランダ女王となるユリアナです。ユリアナ・ルイーゼ・エンマ・マリア・ウィルヘルミナは、二人の唯一の嫡出子として大切に育てられました。

一方、ハインリヒ王子には複数の愛人が存在したことが知られています。そのうちの一人、ヴィレミーナ・ヴェネッカーとの間には、庶子ピム・ライアーが生まれました。歴史家ジェラルド・アルダースの研究によれば、王子には合計8人の庶子がいたとされています。ハインリヒの死後、ウィルヘルミナ女王は、かつての愛人たち（ヴィレミーナ・ヴェネッカーを含む3人）に対して、毎月手当を支給していたことが明らかになっています。これは、王配の複雑な私生活の一側面を物語るエピソードです。

死去

ハインリヒ王子は1934年7月3日、滞在していたハーグにおいて、心臓発作により58歳でその生涯を閉じました。彼の遺体は、オランダ王家の主要な埋葬場所であるデルフトの新教会に葬られました。

もう一度検索