ハウス (占星術)

西洋占星術におけるハウスとは

西洋占星術におけるハウスとは、ホロスコープ（星図）を構成する基本的な概念の一つです。サイン（星座）が天球上の黄道を均等に12分割するのに対し、ハウスは地球上の特定の観測地点から見た黄道を、太陽が通過する時間に基づいて12分割します。

ハウスの概要

ハウスは、サインとは異なり、観測地点の緯度や時刻によって大きく変化します。そのため、ホロスコープを作成する際には、天文暦などに掲載されている室項表を参照し、ハウスの境界（カスプ）を正確に割り出す必要があります。サインの角度が常に一定であるのに対し、ハウスの角度はそれぞれ異なっている点が特徴です。

サインは、ホロスコープにおいて個人の基本的な性格や才能といった精神的な側面を示すのに対し、ハウスは人生で遭遇する具体的な出来事や活動範囲などを示すとされています。

ハウスの分割方式

ハウスの分割方法には、様々な方式が存在します。大きく分けると、以下の3つの種類があります。

均等分割法: ホロスコープを均等に12分割する方法（イクォール・ハウスなど）。
空間分割法: 空間的な位置関係に基づいて分割する方法。
時間分割法: 太陽の運行時間に基づいて分割する方法（プラシーダス方式、コッホ方式など）。

歴史的には、均等分割法の一種であるイクォール・ハウスが用いられていましたが、アラン・レオが時間分割法であるプラシーダス方式を採用したことで、これが事実上の標準となりました。しかし、プラシーダス方式は高緯度地域でハウスの大きさに極端な差が生じるという問題点があり、近年ではコッホ方式を採用する動きも見られます。

ハウスシステムの分割方法は100種類ほどあると言われています。

ハウスの種類

以下に代表的なハウス分割方式をまとめます。

プラシーダス方式
コッホ方式
イクォール・ハウス
キャンパナス方式
レギオモンタナス方式

ハウスの3区分

12のハウスは、サインの3区分（活動宮、不動宮、柔軟宮）に対応する形で、以下の3つの区分に分類されます。

アンギュラー（活動宮）: 第1室、第4室、第7室、第10室
サクシデント（不動宮）: 第2室、第5室、第8室、第11室
カデント（柔軟宮）: 第3室、第6室、第9室、第12室

12のハウスが表す意味

各ハウスが表す意味は、占星術の流派や時代、占う対象によって異なりますが、ここでは現代西洋占星術における個人の出生図（ネイタルチャート）における一般的な意味合いを示します。

第1室：自己、個性、外見
第2室：財産、収入、価値観
第3室：コミュニケーション、学習、兄弟姉妹
第4室：家庭、ルーツ、心の拠り所
第5室：創造性、恋愛、子供
第6室：仕事、健康、義務
第7室：パートナーシップ、結婚、契約
第8室：遺産、共有財産、変容
第9室：哲学、宗教、外国、高等教育
第10室：キャリア、社会的な地位、目標
第11室：友人、グループ、理想
第12室：潜在意識、秘密、制限

ハウスの傾向

ハウスには、以下のような傾向があると言われています。

第1室～第6室：個人的な事柄
第7室～第12室：集団的な事柄
第1室～第3室：内面的な事柄
第4室～第9室：外面的な事柄

真正面に向かい合うハウス同士は、対照的または正反対の事柄を表す傾向があります。

関連項目

サイン（占星術）

ハウスを理解することで、ホロスコープの解釈がより深まり、自己理解や未来予測に役立てることができます。

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