ハエ男の恐怖

『ハエ男の恐怖』

『ハエ男の恐怖』（原題: The Fly）は、1958年にアメリカで公開されたSFホラー映画で、ジョルジュ・ランジュランの短編小説『蝿』を基に制作されました。映画は20世紀フォックスによって配給されました。

概要

日本ではこの映画のタイトルが『蠅男の恐怖』と漢字で表記されることが一般的ですが、テレビ初放映時（劇場未公開のため）には「ハエ男の恐怖」というカタカナ表記が用いられました。また、この作品には続編として『恐怖のハエ人間』が存在します。

ストーリー

物語は、物理化学者であるアンドレが発見される場面から始まります。彼は上半身が潰された状態で死亡しており、その現場を目撃したのは彼の妻ヘレンです。ヘレンは義兄フランソワと友人のチャラス警部に対し、アンドレの素晴らしい研究と、その悲劇的な結末について語ります。

アンドレが取り組んでいたのは物質を瞬時に移動させる技術、すなわち物質電送機の開発でした。試行錯誤の結果、彼はカップやシャンパンを用いて成功させますが、実験中にハエが偶然混入してしまいます。これにより、アンドレとハエが融合し、頭と片腕がハエになったアンドレと、人間の頭とハエの足を持つハエが誕生しました。ハエ男と化したアンドレは、次第にその自我を失っていきます。

ヒロインヘレンは、元の姿に戻すため、アンドレの意向でハエを捕まえて物質電送機を再度使用することを考えますが、ハエは見つけられず、アンドレの精神状態も不安定になります。最終的にアンドレは、自身の研究の全てを破棄し、痕跡を残さないようにヘレンに頼んで自らの上半身をプレス機械で潰す事を決心します。

ヘレンの衝撃的な証言に、フランソワとチャラスは疑念を抱きます。しかし、庭で信じがたい証拠を発見します。そこには、人間の頭を持ちながらもハエの姿をしたアンドレが捕われていて、助けを求める声を上げていました。このイメージは非常に衝撃的で、チャラスはハエを助けるために石を落としますが、その結果ハエは殺されてしまいます。フランソワは、この悲劇が生命の本質と問いかけるものであると指摘し、事件は自殺として処理されるのでした。

スタッフ

本作の製作と監督にはカート・ニューマンが関与し、脚本はジェームズ・クラヴェルが担当しました。撮影はカール・ストラスによるもので、音楽はポール・ソーテルが手掛け、特撮はL・B・アボット、メイクアップはベン・ナイが担当しました。

関連作品

続編には『蝿男の逆襲』や『蝿男の呪い』といった作品が存在します。また、1986年には本作をリメイクした映画『ザ・フライ』が公開され、続編も製作されました。

パロディと類似作品

この映画は多くのパロディや類似作品に影響を与えました。日本の特撮映画『透明人間と蝿男』や、漫画『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』のバクスター・ストックマンがハエ男になってしまうエピソードなど、広範囲にわたりその影響を見つけることができます。また、ゲームやアニメでもハエ人間に似た設定のキャラクターが登場することが多く、巷間の文化における大きな足跡を残しています。

『ハエ男の恐怖』は、SFホラーの金字塔として、現在も多くの視聴者に語り継がれています。

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