カール・ストラス

カール・F・ストラス：写真から映画へ、そしてアカデミー賞へ

カール・F・ストラス (1886年11月20日 - 1981年12月16日) は、20世紀を代表するドイツ系アメリカ人の写真家にして、映画撮影技師でした。彼の名は、第1回アカデミー賞撮影賞受賞者として、映画史に刻まれています。

ストラスの初期の人生は、病気を患った高校時代と、ボンネット・ワイヤー工場での労働という、決して恵まれたものではありませんでした。しかし、彼は学業に復帰し、コロンビア大学で著名な写真家クラレンス・H・ホワイトに師事します。この出会いが、彼の芸術家としての道を決定づける転機となります。

コロンビア大学卒業後、ストラスは写真界の巨匠、アルフレッド・スティーグリッツ率いるフォト・セセッションに参加。その作品は、権威ある写真雑誌『カメラ・ワーク』にも掲載され、高い評価を獲得しました。初期の作品はピクトリアリスムの様式を示していましたが、彼の作品には次第にモダニズムの要素が加わっていき、独特の芸術性を確立していきます。

1914年、ストラスは師であるクラレンス・ホワイトのスタジオを継承し、商業写真家として成功を収めます。ヴォーグ、バニティ・フェア、ハーパース・バザーといった、当時のファッション界を代表する雑誌に彼の作品が掲載されるようになったのです。ニューヨークでの華やかな活動は、彼のキャリアにおいて重要な足がかりとなりました。

しかし、1919年、ストラスはニューヨークでの活動を離れ、ハリウッドへと移住します。彼のルーツであるドイツへの配慮もあったかと思われますが、彼は写真家から映画撮影技師（スチールカメラマン）へと転身します。

ハリウッドではパラマウント社と契約し、数々の映画作品を手がけました。代表的な作品として、『ジキル博士とハイド氏』や『ハエ男の恐怖』など、時代を彩る名作への貢献は計り知れません。さらに、チャールズ・チャップリン監督作品である『独裁者』や『ライムライト』にも携わっており、ハリウッド黄金期を代表する巨匠とのコラボレーションは彼のキャリアの大きな輝きとなっています。

特に1932年の『ジキル博士とハイド氏』は、第4回アカデミー賞撮影賞にノミネートされ、彼の高い技術と芸術性を世界に示すこととなりました。この作品での功績は、彼の映画界における地位を確固たるものにしたと言えます。

1981年に逝去したカール・F・ストラス。写真家から映画撮影技師への転身、そして時代を代表する映画作品への貢献。彼の生涯は、芸術への飽くなき探求と才能の多様性を示す、感動的な物語です。彼の作品は、今日でも高い評価を受け、映画史、写真史に大きな足跡を残しています。

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