ハクサンチドリ

ハクサンチドリ（白山千鳥）

ハクサンチドリ（学名：Dactylorhiza aristata）は、ラン科ハクサンチドリ属に分類される多年草の高山植物です。その名前は、白山で多く見られることと、花が千鳥の飛ぶ姿に似ていることに由来します。北海道から中部地方以北の高山帯、特に湿り気のある場所に自生しています。

特徴

ハクサンチドリは、高さ10～40cm程度に成長します。花期は6月から8月にかけてで、茎の先端に赤紫色の花が多数集まって咲きます。この花序は総状花序と呼ばれ、花の形は唇形をしており、先端が3つに分かれています。まれに白い花の個体も観察されます。

栽培について

ハクサンチドリは、その美しい花から園芸植物としても人気がありますが、栽培は容易ではありません。特に、北方寒冷地の植物であるため、温暖な地域での栽培は非常に難しいとされています。また、株自体の寿命も長くなく、増殖率も高くないため、寒冷地であっても維持管理は簡単ではありません。

無菌播種による増殖も可能ですが、一般的なランとは異なり、播種培地に高濃度の硝酸イオンが含まれていると初期生育が阻害されるなど、培養特性に特殊性があります。

品種

ハクサンチドリには、以下の品種が知られています。

ウズラバハクサンチドリ（学名：Dactylorhiza aristata f. punctata）：葉に薄紫色の斑点が入る品種です。
シロバナハクサンチドリ（学名：Dactylorhiza aristata f. albiflora）：白い花を咲かせる品種です。

その他

ハクサンチドリは、高山植物の中でも特に美しい姿を持つ植物の一つです。しかし、その生育環境は限られており、気候変動や環境破壊の影響を受けやすいと考えられています。そのため、自生地での保護や適切な栽培方法の確立が求められています。

参考文献

豊国秀夫『日本の高山植物』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1988年9月。ISBN 4-635-09019-1。

関連項目

高山植物

外部リンク

ハクサンチドリの標本（千葉大学附属図書館）
日本のレッドデータ検索システム「ハクサンチドリ」
* Dactylorhiza aristata (The Plant List)

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