ハタネズミ

ハタネズミ（畑鼠）

ハタネズミ（Alexandromys montebelli）は、キヌゲネズミ科に属する日本固有の小型哺乳類です。別名ニホンハタネズミとも呼ばれ、茶褐色の体毛と短い尾が特徴です。

形態

成獣のハタネズミは、以下の特徴を持ちます。

体長: 95 - 136mm
尾長: 29 - 50mm
体重: 22 - 62g

一般的に、南部に生息する個体の方が大型化する傾向があります。背面は茶色または灰黄赤色、腹面は灰白色の体毛で覆われています。

分布と生息地

ハタネズミは、本州、九州、佐渡島、能登島に分布しています。造林地、高山のハイマツ帯、河川敷、田畑など、多様な環境に適応し、地表から約50cmの深さに網目状の巣穴を掘って生活します。

食性と生態

主にイネ科やキク科の植物を食餌とします。秋には巣穴に食料を貯蔵する習性があり、冬には雪の下に巣穴を掘ることもあります。夜行性であり、日没と日の出前の時間帯に活動することが多いです。

繁殖期は春から秋にかけてで、一度に数匹の子供を産みます。生まれたばかりの子供は無毛で目が閉じていますが、生後10日ほどで目が開き、巣の周りを動き回るようになります。寿命は約1年で、メスの方がオスよりも長生きする傾向があります。

人間との関わり

ハタネズミは、時に大発生し、農作物や森林に大きな被害をもたらすことがあります。イネ、サツマイモ、ニンジンなどの根菜類、造林地の樹木、果樹などが食害の対象となります。過去には、阿蘇山でカヤの根を食い荒らして山崩れを引き起こしたり、堤防に穴をあけて川の決壊を招いたりした事例も報告されています。

対策

ハタネズミによる被害を防ぐため、様々な対策が講じられています。

耕作地の周りの草刈り
殺鼠剤の使用
天敵の保護

分類

ハタネズミは、かつてハタネズミ属Microtusに分類されていましたが、2005年の分類ではヨシハタネズミを含む12種がAlexandromys亜属に分類されました。2012年には、形態や分子系統解析に基づき、ヨシハタネズミ属Alexandromysとして分割する説が提唱されています。

亜種

佐渡島に生息する個体群を、本州産とは異なる亜種（Microtus montebelli brevicorpus）とする説もあります。

天敵

ハタネズミの天敵としては、以下のようなものが挙げられます。

イタチ
トビ
モズ
ヘビ

まとめ

ハタネズミは、日本の自然環境において重要な役割を担っています。しかし、時に人間生活に被害をもたらすこともあるため、適切な対策が必要です。ハタネズミの生態を理解し、共存していくことが大切です。

もう一度検索