殺鼠剤

殺鼠剤について

殺鼠剤とは、ネズミを駆除するために用いられる薬剤の総称です。一般的には毒餌として使用されますが、粉剤を巣に散布して駆除する方法もあります。

殺鼠剤の種類と用途

殺鼠剤は、使用される場所や目的によって、以下のように分類されます。

農薬: 農地や山林、貯穀倉庫などで、農作物に被害を与えるノネズミを駆除するために使用されます。
防除用医薬部外品: 家庭や事業所などで、イエネズミを駆除するために使用されます。
動物用医薬部外品: 畜舎やその周辺で使用される殺鼠剤です。

殺鼠剤の作用

殺鼠剤は、その作用機序によって大きく2つに分類されます。

累積毒剤

数回に分けて摂取させることで効果を発揮するタイプの殺鼠剤です。少量ずつ継続的に摂取させる必要があるため、効果が出るまでに時間がかかりますが、ヒトやペットが誤って摂取した場合の安全性は比較的高いとされています。

クマ[[リン]]系抗血液凝固成分: クマテトラリルが代表的です。血液の凝固を阻害する作用があります。
血液凝固阻害薬: ワルファリンやジフェチアロールなどが該当します。これらの薬剤は、ビタミンKを投与することで解毒が可能です。

急性毒剤

一度の摂取で効果を発揮するタイプの殺鼠剤です。毒性が非常に強く、取り扱いには注意が必要です。

黄燐: 「猫いらず」という名称で知られています。
三酸化二ヒ素: こちらも「猫いらず」と呼ばれます。
リン化アルミニウム: 水と反応して有毒ガス（ホスフィン）を発生させます。
リン化亜鉛
ノルボルマイド
シリロシド
タリウム、硫酸タリウム
α-ナフチルチオ尿素
モノフルオロ酢酸ナトリウム
クマ[[リン]]系の新しい薬剤: ジフェチアロール、ジフェチアロンなどがあります。

タリウムを誤飲した場合の治療には、プルシアンブルーが用いられます。

薬剤抵抗性

近年、クマ[[ネズミ]]やドブ[[ネズミ]]の一部には、ワルファリンなどの抗血液凝固剤に対して抵抗性を持つ個体（スーパーラット）が出現しています。

スーパーラットは、肝臓でのVKOR代謝能力が高く、体内で抗凝固剤の毒性が高まる前に排泄されるため、薬剤に対する抵抗性を獲得したと考えられています。また、薬剤濃度が高いと喫食せず、低いと中毒症状を起こしても回復するため、弱い個体のみが死亡し、生き残った個体の耐性が高まると考えられています。ワルファリン以外の薬剤に対する抵抗性も報告されています。

日本における法規制

1905年に日本で初めて黄リン系の殺鼠剤「猫いらず」が発売されましたが、入手しやすさから自殺や犯罪に使用される例が増えたため、1921年に内務省が取り締まりを強化するよう訓令を出しました。

現在では、家庭で使用するものは薬機法、農地で使用するものは農薬取締法によって管理されています。殺鼠剤の成分、販売、取り扱いなどに関する規定が設けられており、目的外の使用は禁止されています。

リン化アルミニウムは、水と反応して有毒なホスフィンガスを発生させるため、毒物に指定されています。

目的外使用の事例

殺鼠剤は、以下のような目的外で使用される事例が報告されています。

犯罪: アメリカの連続殺人犯であるナニー・ドスは、殺鼠剤を犯行に用いました。
合成麻薬の製造: アメリカでは、合成大麻などの製造に殺鼠剤が使用され、死亡例も出ています。

関連法規

農薬取締法
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律（薬機法）
毒物及び劇物取締法
建築物衛生法
建築物環境衛生基準

関連項目

殺虫剤
ねずみ捕り
石見銀山ねずみ捕り

外部リンク

ワルファリン抵抗性および感受性クマ[[ネズミ]]に対するクマテトラリルの効力
* 都心に潜む不死身ネズミの進化 - PEST KINGDOM : SUPER RATS - YouTube・VICE Japan

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