ハットフィールド・アンド・ザ・ノース

ハットフィールド・アンド・ザ・ノース（Hatfield and the North）は、1970年代に活動していたイギリスのプログレッシブ・ロックバンドであり、その主なスタイルはカンタベリー・ロックに分類されます。このバンドは1972年に、ピップ・パイル、リチャード・シンクレア、スティーヴ・ミラー、フィル・ミラーの4人によって結成されました。彼らはデリヴァリーというバンドの流れを汲んでおり、バンド名はロンドン北部のハットフィールドに由来しています。

最初のラインナップにはスティーヴ・ミラーが含まれていましたが、彼はすぐに脱退し、デイヴ・スチュアートが新たに加入しました。1973年にはデビューアルバム『ハットフィールド・アンド・ザ・ノース』をリリース。この作品は複雑な楽曲構成と、ジャズやフリージャズの影響を受けた即興演奏が特徴で、バンドの特色を際立たせるものでした。

1973年にはギルガメッシュとの共演を行い、大規模なコンサートではアラン・ゴーウェン作の40分に及ぶ組曲を演奏、プログレッシブ・ロックシーンでもその存在感を示しました。その後、彼らのセカンドアルバム『ザ・ロッターズ・クラブ』を1975年に発表しましたが、同年6月に解散が決定。メンバーたちは他のプロジェクトに移行し、特にミラーとスチュアートの二人はナショナル・ヘルスを結成し、多くのファンを魅了しました。

バンドの活動は1980年代から90年代にかけて続き、1990年にはテレビ番組の企画で一時的に再結成され、四人のオリジナルメンバーであるミラー、シンクレア、パイル、ソフィア・ドマンシッチと共演。これによりバンドはその影響力を再確認されました。

2005年には再結成が実現し、フィル・ミラー、リチャード・シンクレア、ピップ・パイルにアレックス・マグワイアを加えた新たなラインナップで来日公演も行いました。この時期にはデイヴ・スチュアートは参加していないものの、彼らは数回のツアーを行い、活発に活動を展開。残念ながら、2006年にパイルが亡くなった際には、残るメンバーはマーク・フレッチャーを迎えてその後の公演を続けました。

メンバーと楽器

初期のメンバーは以下のように構成されていました:

- フィル・ミラー (Guitar)
- リチャード・シンクレア (Bass, Vocals)
- ピップ・パイル (Drums)
- スティーヴ・ミラー (Piano, Electric Piano)

1973年にデイヴ・スチュアートが加入し、彼らはさらに多様な音楽スタイルを追求していきます。特にジャズの要素を取り入れたテクニックや、アンサンブルでの即興演奏は、このバンドの特徴です。また、バンドは多数のゲストミュージシャンを招き、その幅広い音楽スタイルに厚みを加えてきました。

ディスコグラフィー

彼らの代表作としては、以下の２つのスタジオアルバムが挙げられます:

1. 『ハットフィールド・アンド・ザ・ノース』 (1974年)
2. 『ザ・ロッターズ・クラブ』 (1975年)

また、ライブアルバムもいくつかリリースされており、特に『ライヴ1990』は再結成時期の貴重な記録として注目されています。2005年の再結成では新たな音源も製作され、当時のファンを喜ばせました。バンドはその後もさまざまな形で影響を与え続け、カンタベリー・ロックの伝説として語り継がれています。

ハットフィールド・アンド・ザ・ノースは、その独自の音楽スタイルと不変の情熱で、多くのファンに支持され続けているバンドです。

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