ハドソン・テーラー

ジェームズ・ハドソン・テーラー（James Hudson Taylor、1832年5月21日 - 1905年6月3日）は、イギリス出身の著名なプロテスタント宣教師であり、中国奥地宣教団（China Inland Mission、現在のOMFインターナショナル）の創設者として知られています。彼は中国での51年間を通して、福音宣教に尽力し、その生涯を中国の人々に捧げました。

生い立ちと献身

テーラーは、イングランドのヨークシャー州バーンズリーで生まれました。彼の父は薬剤師であり、熱心なメソジストの信徒説教者でした。敬虔な両親の影響を受けながら育ったテーラーでしたが、青年期にはキリスト教信仰から一時的に離れていました。しかし、17歳の時、父の書斎で一冊の信仰書を読んだことをきっかけに回心を経験し、信仰に立ち返りました。この時、彼は「主なる神の臨在に触れ」献身を誓い、中国への宣教を志すようになりました。

中国での宣教活動

1850年、テーラーは中国伝道協会の代理人として中国へ渡り、上海に上陸しました。その後、彼は中国内陸部での伝道に力を注ぎ、各地を訪問しました。1857年には中国伝道協会を辞任し、より独立した立場で宣教活動を行うようになりました。彼は中国の文化に深く敬意を払い、現地の衣装を着用し、中国語を習得することで、中国人との距離を縮めました。

テーラーの宣教活動は、困難の連続でした。1870年には天津大虐殺が発生し、彼の妻であるマリヤ夫人が亡くなるという悲劇にも見舞われました。しかし、テーラーは決してその歩みを止めることなく、宣教活動を続けました。

チャイナ・インランド・ミッションの創設

1865年、テーラーはチャイナ・インランド・ミッションを設立しました。この宣教団は、中国内陸部への宣教を専門とし、多くの宣教師を中国に派遣しました。テーラーの指導の下、チャイナ・インランド・ミッションは、中国各地に教会や学校、病院を設立し、中国の人々の生活と福祉に貢献しました。

晩年と遺産

テーラーは、1905年に中国の湖南省でその生涯を閉じました。彼の死後も、チャイナ・インランド・ミッションは活動を続け、世界各地の宣教活動に大きな影響を与えました。テーラーの熱心な宣教活動と中国文化への深い理解は、多くの人々に感銘を与え、現代の宣教活動にも大きな影響を与え続けています。

年譜

1832年：英国ヨークシャー州バーンズリーに生まれる。
1849年：回心。召命を受ける。
1850年9月19日：中国伝道協会の代理人として中国へ出帆。
1854年3月1日：上海に上陸。
1854年-1855年：4回にわたる伝道旅行を行う。
1855年：内陸で最初の家、崇明島で6ヶ月過ごす。
1855年-1856年：ウィリアム・C・バーンズ牧師と7ヶ月過ごす。
1856年：寧波に定住。
1857年6月：中国伝道協会を辞任。
1857年1月20日：マリヤ・ダイヤーと結婚。
1859年：寧波でパーカー博士の病院の責任を引き受ける。
1860年：休暇で英国へ帰る。
1860-1865年：陰での数年間。
1865年：ブリストンでの全き献身、24人の同労者を求めて祈った。
1866年：チャイナ・インランド・ミッションの第一グループがラマミュール号で出帆、4ヶ月の旅をする。
1866年12月：ラマミュール・グループ杭州に到着。
1867年：幼いグレーシーの召天。
1869年：新たな生活の初め。
1870年6月21日：天津大虐殺。
1870年6月23日：マリヤ夫人召天。
1872年：チャイナ・インランド・ミッションのロンドン委員会設立。
1872年10月9日：再婚したアメリア夫人と共に中国へ帰る。
1874年：ジャットと共に、武昌にミッションの西部地域支部を開設。
1874年：テーラーは体が麻痺して、英国で病床につく。
1876年-1878年：中国内陸全域にわたる伝道旅行を行う。
1888年：テーラー北米を訪問。
1889年：スウェーデン、ノルウェー、デンマークを初めて訪問。
1889年：オーストラリアを始めて訪問。
1904年：テーラーは代表を辞して、D・E・ホーストが後任になる。
1904年7月30日：アメリア夫人スイスで召天。
1905年：テーラー最後の中国行き。
1905年6月3日：湖南省で召天。

著書

『ハドソン・テーラー、信仰の生涯を語る』ハドソン・テーラー著　ISBN 4264012449

参考

『リバイバル人物伝』立石靖夫著 新生宣教団 ISBN 9784882810889
『世界宣教の歴史』中村敏 著　いのちのことば社 ISBN 4264024226
『ハドソン・テーラーの生涯とその秘訣』ハワード・テーラー著、舟喜信訳、いのちのことば社、1964年
* 『人生のかぎ』V.レイモンド・エドマン著、舟喜信訳、いのちのことば社、1966年

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